2012年10月31日水曜日

はしの厚みをゼロに

私たちが主に使う刃物は革包丁とよばれる片刃の刃物。
刃物を使う作業の80%以上はこの革包丁を使う。
革を裁断する時はもちろん、その他にこのように
革の厚みを調整するのにもよく使う。
これは、柔らかく薄い裏地用の革のはしの厚みがゼロになるようにする作業。
柔らかく薄い革が伸びてしまわないよう、丁寧に丁寧に研いだ包丁で
力を入れないよう作業をする。
よく切れる刺身包丁で、すーっとお刺身を引いている感覚に似ているとおもう。



2012年10月27日土曜日

T様の抱え鞄

本来は3層構造のBK41型を2層にしてセミオーダーいただき、
お渡ししてから2年ほど経過しています。
ベルトをきゅっと締めて、スリムにお使いいただいくことが多いようです。
すっかりT様の色に染まった鞄です。



          コバを丁寧に磨きなおし、ネンを引き直すと
全体の印象も再び、ぐっと引き締まります。





2012年10月22日月曜日

完成図 山羊革のアタッシェ3

アタッシェの全容図。
ぽったりした山羊革の肉感が損なわれないように革の厚みを検討し、
木枠の角のアールにも気をつかった。四隅は、あえて主張し過ぎないような
すくい縫いでまとめた。
木枠でつくるアタッシェは特に、フラットで直線的な平面が表に出過ぎると
貧相な印象のものになりがちである。直線と面で構成されているからこそ、
あえてそれを「革」でくるむ意味を考える。「革」をつかうからには、
無機質な印象の物をつくってはいけないと。






            




2012年10月18日木曜日

ステイ部分の制作 山羊革のアタッシェ2

ステイの製作は毎回図面検討が面白い。
特に今回のように細身のアタッシェの場合には、ふたを閉めたときだんだんもぐっていくステイの先端がすぐ底にあたってしまう。そうはさせじと取り付け位置、形状を考えなくてはいけない。
だいたい鞄は検討から金属、木の削り、もちろん革も全部自分達の手で考え、加工し、
作り上げていくことができる。
こんな面白いものってそうは無いんじゃなかろうか。










2012年10月16日火曜日

まずは革ありき 山羊革のアタッシェ

    ブルーともグレーとも言えないような微妙な色調が美しい山羊の革に
    惚れ込んでいただき、オーダーをいただいたF様のアタッシェケース。
    サイズやプロポーションの検討もいろいろあったが、最終的に、この革の
    美しさが最大限に生かされるサイズに決める事になった。




2012年10月12日金曜日

お休みのお知らせ

本日10月12日金曜日は都合によりお休みいたします。
明日のお出でお待ち申し上げております。

秋のある日

       使い込まれた真っ赤な鞄がメンテナンスに戻って来た。


もみじの紅葉を思わせるような色の濃淡にため息。 



2012年10月7日日曜日

無垢の金属

革で作った鞄は年月がたつと傷も付く、繰り返しの曲げで繊維が弛み柔らかくなり、
部分によって弛みの差も大きくなる。大きな意味では朽ち果てていく過程である。
しかし、その朽ち果てる過程が美しいのが革である。
繊維のほぐれはその革の持っているドレイプになり、傷は、程度はあるが、
メンテナンス によって味とも言える存在感を生じさせる。
Fugeeの金具はメッキをしていない。メッキをしてある市販品の金具を使う時は
一度バラバラにしてヤスリ、バフ等でメッキを落とし、研磨してから又組み立てて
鞄に取り付ける。
鞄が味が出る年の取り方をしているのに金具がピカピカ、はFugeeの好みではない。
鞄は新しい時はきりっとした美しさのあるように仕立てる。
でも大切なのはそれから先の長い年月。それをどのくらい作業の中に見越して、
落とし込む仕立てが出来るかが一番大切なこと。
新しい物とはまったく違う、持たれている方の色に染まっていくのが革の鞄。
金具も、持つ方の触れ方によって色も、風合いもそれぞれ違ってくる。
使っていって美しさがその方の色に変化していく鞄。
そういう物を作る努力をしている。

鞄が出来上がった時の金具の表情
使用後の表情
 別の錠前の使用後