2021年12月31日金曜日

種まきの1ねん

コロナのおかげでゆっくり作業が出来たからでしょうか、
今年は図面等の検討時間が多かった気がします。
この作業が好きという事もあるとおもいますが、
思いにまかせA4のコピー用紙にアイデア、落書き何でも描きます。
まとまって来て、行けそうなものが出て来たら図面におこします。
途中で試作をしたりアイデアの修正をしたり、、。
ボツになることも、それが復活したりすることもあります。
来年花咲くアイデアもあるはずです。
さて、2022年はどんな年になるのでしょうか。
皆様よいお年をお過ごし下さい。





 

2021年12月25日土曜日

赤いハンドバッグ

クリスマスなので、フルオーダーでおつくりした赤いハンドバッグのご紹介。
いろいろな考え方が、特にファッションに強く傾くハンドバッグにはあると思います。
デザインという遊びや色使い、時にはとっぴなものをよしとする事も、、。
Fugeeのハンドバッグにはそういうものはありません。
ボックスカーフという素材の本質的な美しさ、強さ、優しさをどう表現するか。
試作を繰り返しお客様のご希望、お話の中で私達が感じたそのお人柄、それらと私達の感性や技術のベストな有り様を探ったものです。
特徴の薄い鞄と見られる方もいらっしゃるかもしれませんが少しのお時間ご覧になってみてください。
実物をお見せ出来ないのは残念ですがこの写真から何かを感じていただけましたら幸いです。



 

2021年12月18日土曜日

ボックスカーフのダレスバッグ

 久しぶりにボックスカーフでこの形をつくりました。
現在の展示鞄、DB43型のダレスバッグです。
ボックスカーフの特徴のひとつである「ツヤ感」を表現するにはもってこいの形だなあとおもいます。パンと張った部分に光が当たるとほんとうに美しいのです。




2021年12月11日土曜日

BK41の経年変化

 右側の鞄は前回のブログの10年ほどお使いいただいているBK41型、左側の鞄は現在ショウルームにある展示鞄です。
微妙ですが形状の変化がおわかりでしょうか。
鞄の自重と中身の重量は当然ですが持ち手で支えております。
力は持ち手の両端の金具からフラップ部の革につながり前と後ろの胴にと流れて行きます。
ところが実際にはもうワンクッションあります。
フラップの裏、持ち手の真下に幅2cm程の帯鉄が鞄幅いっぱいに横たわっております。
全ての力は金具を通してネジ留めされたこの帯鉄に伝わります。
つまりフラップは帯鉄の上に乗っている状態です。
ですからこの鞄の場合、持ち手に伝わる重量は全てこの帯鉄にぶらさがる構造です。
長くなりましたが、2枚目の写真、上から見た鞄の幅が微妙に古い鞄の方が狭いのがおわかりになるでしょうか。これは、4mm厚のブライドルレザーとはいえ、長年の使用でフラップの繊維がほぐれて柔らかくなってきている事を示しています。
しかし、鞄の中に入れる荷物の量にもよりますが、他の革ではこんなに張りが保てません。もっと早くぺたんこな鞄になります。しっかりした厚手のタンニンなめしの革ならではの質感の鞄だと思います。
Fugeeで、他の革でこの持ち手の付け方の鞄をご注文頂いたら、そのメリット、デメリットをご納得頂く必要が出てくると思います。また、他にも方法はありますのでそちらをお勧めするかもしれませんが。





2021年11月30日火曜日

ヌメブライドルのエイジング

かれこれ10年程お使いいただいているお客様のFugee定番 BK41型 ブライドルのカカエ鞄。
メンテナンスでお預かりしました。染色されていないタンニン材だけの色味のヌメ革の場合は特に、持ち主のキャラクターがエイジングに表われるようにかんじます。真鍮無垢の金具の変化も人それぞれで面白いものです。ヌメなので色を補正することはしませんが、丹念にクリームを入れ、コバをもういちどヤスリがけし、フノリで磨き直し、ネンをしっかり入れてメンテナンス完了です。













2021年11月15日月曜日

魅惑の白ステッチ

Fugeeの鞄は手縫いで仕立てています。
(ミシンの必要な特殊な部分はその限りではありませんが。)
手縫いにこだわるのはコントロールがきくステッチの美しさもありますが作品の耐久性や経年変化の美しさを求めてのことでもあります。ですから手縫いをこれ見よがしに強調するような事は基本的にいたしません。又手縫いでありさえすればクオリティーの高い鞄を作れるというのも間違いです。手縫いと同じようにあるいはそれ以上に高品質の鞄に欠かせない作業は幾つもあります。
しかし時にはステッチを際立たせた鞄を仕立てる事もあります。
そればかりというのはどうかと思いますが、きちっと縫えた白いステッチも魅力的なものです。








2021年11月8日月曜日

口枠鞄についての授業

数日前の教室は新しい鞄に入る最初の日でした。
写真手前の口枠の鞄を作ることを学びます。
口枠の鞄は開けたときと閉じたときの形が大きく変化するので革の使い方で美しさも
大きく変化しやすい鞄です。
さて、この日は4時間の授業のほとんどを口枠鞄の構造と制作上不可欠な大切なポイントや私達がどう考えてデッサン、図面から型紙、そして試作にもって行ったかの説明に費やしました。Fugeeがつくった見本の鞄だけでなく、似たような構造の古い鞄もたくさん見ていじってもらいます。つくり手の目線で見る事によって得られる発見はたくさんあります。
説明する方も受け取る方もかなりいっぱいいっぱいの4時間。
本質を知ることは自分で鞄が出来るようになるためには最も大切なことというのは当然です。
ただ単に作業の指示をするだけでは「知らないうちに何となく鞄が出来ていた」になってしまいます。これでは全く意味がなくその作業が何故そこで必要なのか、もっと良い方法は無いのかを考えることこそ、もの作りには大切なのです。
もちろん私達がわららない事もたくさんあります、それらは皆で考えたいのです。
そんなふうに進めていくとあっという間の4時間。
説明に夢中で皆さんを置き去りにした部分もありましたが、制作に入ってからもたくさん質問提案をして欲しいものです。
お疲れ様でした。



 

2021年10月31日日曜日

ダークグリーンのコンビ

グリーン好きのお客様からのご注文いただいた
クロコダイルの長財布とブライドルレザーの薄札入れ。
長財布の内側もボックスカーフのグリーン。





 

2021年10月27日水曜日

Luggage Tug

 お買い上げの鞄に合わせた革と金具でご注文いただいたFugeeラゲッジタグ。
装着する鞄によってベルトの長さやつくりを微妙に変えて制作します。
手前が黒チャリ革にスターリングシルバー(銀925金具)
奥がスムースカーフと型押しカーフのコンビにブラス(真鍮金具)



2021年10月18日月曜日

せめぎあい

ちょっとしたバラ傷は避けたいけれど、繊維のいい方を優先させたい。
もう少し薄くすれば仕立てがしやすいけれど、厚い方が質感はもちろんいい。
この革ではこの厚みがいいと思うけれど、こっちの革では同じパーツでも同じ厚さでよいだろうか。前回はこうしたはずだけれど、今回はこういう考えですすめてみよう。 
長年つくっている定番の鞄でも毎回毎回ああだこうだいいつつ、いろんな意図や想いのせめぎあいにひーひーいいながら、そのときのギリギリをジャッジしながらゆっくり進んでいくのがFugeeの鞄づくりです。
そして、そうした過程を経ることによって出来上がる鞄はどれもそれぞれいい顔をしていると手前味噌ながら自信を持って言えるのです。








2021年10月7日木曜日

ボックスカーフの箱形クラッチ

 Fugeeのオーダーでは持ち手のないクラッチバッグはその内容にもよりますが小物の分類に分けています。
今回のご注文はバッグインバッグで冠婚葬祭にもお使いになりたいというものでした。
革はボックスカーフで底に手が差し込めるようにしてほしいとのご要望で、当初底に薄い持ち手の様なものを付けることを考えておりましたが、ベルトの外から持った時に手に当たるのが不快ですっきりと中に引っ込むタイプを提案させていただきました。
これが寸法等結構大変な作業でしたがなかなかきれいにまとまりました。













2021年9月29日水曜日

2021 Fugee small leather goods

オーダー、店置き在庫の補充も含め、今年の小物制作期間が終わりました。
ご注文いただいたお客様にでき上がりのご連絡をする前にする写真撮影が、鞄が短期間でたくさんでき上がることはないFugeeにとっては秋の収穫祭のようで密かな楽しみです。


 

2021年9月23日木曜日

Fugeeスタイルのカートリッジバッグ

 イギリスに昔からある形で、狩猟のための薬莢を入れるためのカートリッジバッグをFugeeなりの解釈でつくった鞄です。
胴体に切り込みを入れて寄せ、すくい縫いをした上にパッチを付けて縫い込むことにより、マチと胴の一体型を可能にした手縫いならではの仕立てです。
15年くらい前、何回か店にならべたことがありました。
写真をご覧になってご注文くださったお客様にはちょうど入手したイギリスベーカー社のフルグレインブライドルを改めてご提案させて頂いた所お気に召して頂き写真のものとなりました。











2021年9月17日金曜日

お仕事づかいのトートバッグ

ご注文いただきましたのはキリッとした、同時に柔らかさ優しさを感じさせてくれる女性です。「書類と、時にはパソコンも入れて仕事に使うためのトート」というお題をいただき制作したものです。
柔らかい雰囲気をできるだけ残しつつも、ハードな荷物を入れても安心感のある質感にもっていくために、型紙の調整と質感のテストに時間をかけました。
同じような鞄でもどこに標準を当てて落としどころをどう掴むかでまったく違うものとなってしまうのが怖いところでもあり、おもしろいところでもあります。とくにトートバッグはそこが難しい鞄だといつも感じます。
コロナ渦のために鞄は発送することとなりお会いできなかったのはとても残念でしたが、お持ちになったお姿の写真を送っていただきました。鞄を持った素敵な笑顔の立ち姿を拝見できて幸せです。








 

2021年9月9日木曜日

もう秋!?

夏の小物制作はいまのところ予定どうりに進んでいるのに、妙に焦るのは、9月に入って急にぐっと涼しくなっていきなり「秋!」な日々になってしまったからでしょうか。
毎年の小物制作といえば、夏の日差しを浴びながら汗をかきかき・・・のイメージがからだに染み付いているので、だいぶ拍子抜けしています。
それにしてももう少し夏のなごりを感じていたかったなあ。。




 

2021年8月31日火曜日

籠型鞄 ディディール

 分厚いブライドルレザーをそのまま使った裏地のないざっくりした仕立てだけに、持ち手と真鍮のトグルが大きなアクセントになっています。
展示用につくったヌメはすぐに売約済みとなってしまいましたが、次につくる予定のときまではショウルームにございますので、ご興味のある方はどうぞお気軽に見にいらしてください。









2021年8月26日木曜日

籠型鞄 ふたたび

籠をモチーフにした大きなトートバッグです。
2014年のReal Bespoke 展の折につくった鞄で、もういちど見たいという声も多くいただいていましたがなかなか時間が取れず実現できずにおりました。
焦げ茶色でオーダーをいただいていたものをお仕立てする際に、展示用のものも一つ作ることができました。シンプルな仕立てですが、分厚い革を立体にしていく過程はとてもダイナミックでつくり手としてもドキドキ、テンションの上がる鞄です。
何かと暗い話題の多い昨今ですが、日々の生活を豊かにたのしむための日常づかいに、
こんな鞄はいかがでしょう。








 

2021年8月18日水曜日

断面がまんまる

 丸芯のまわりに表の革を巻いて縫い込む持ち手には大抵の場合、縫い目から先に縫い代部分のトサカがついているのが普通です。
でもこの持ち手には突起はなく断面がまんまるになるようにつくりが工夫してあります。
昔見せてもらったことのあるフランスの古い馬具の丸紐を再現しました。馬の身体に少しでも優しく当たるように考えられていたと思われます。
ゴツイ鞄に取り付けるための短く太い2本の持ち手はやっぱりツルッとしていたほうがしっくりきます。





2021年8月10日火曜日

気がつけば・・・

 気付けば8月もなんと半ばに入ろうというところ。
パソコンの調子がわるいこともあり、写真を取り込んだりちょっとした操作がなんとなくおっくうになりがちな夏をすごしています。
本業のほうは7月のフルオーダーの鞄に目処がつき、毎年恒例の小物制作にやっとシフトしつつあるところです。
写真は先月の鞄のボックスカーフを裁断中のもの。90年代にパリから担いでかえってきた革なので思い出深くて写真をとりました。なんともいえない落ち着いた赤。顔料が薄く透明感があってとても綺麗。綺麗なだけでなくむっちりした張りもあり革としての底力も感じられる。こういう質感の革は最近は見かけないなあ。最後の一枚を素敵な鞄に出来て幸せです。
ああ、裁断前の革の写真も撮っておくんだった〜。鞄の写真ももちろん撮り忘れないようにしないと!



2021年7月31日土曜日

クロコダイルの時計ケース(6)

ケースが完成して時計をセットさせていただきました。
奥の蓋のついた箱のようなものはリング等小物を収納しておく為のものです。
又、時計のベルトも同じクロコで作らせて頂きました。
(時計ベルトは現在はご注文をお受けしておりません)
立体を美しく表現できる手縫いという方法に改めて感謝したい思いです。


 


2021年7月24日土曜日

クロコダイルの時計ケース (5)

本体のステッチは手縫い独特の入れ駒という縫い方をしておりますが
入れ駒でも特別ストロークの長いものでまとめています。
金具はスターリングシルバーを使用しました。
蓋の上は角材を折り曲げロウ付け、つまみ部分は平板を曲げてカット穴あけ、
つまみを差し込む球状のギボシは特別にお願いして旋盤で挽いて頂きました。
クロコのベルトのテンションで蓋がロックされます。
もちろんベルトは伸びていかない工夫をしてあります。
ロックのつまみ部分にふっくら膨らましたクロコを縫い付け完成です。









2021年7月14日水曜日

クロコダイルの時計ケース (4)

外側が完成に近づいてきました。
作業過程の面白いところを少ない写真でわかりやすく正確にお知らせするのは難しいです
どんなものもそうだと思いますが、緻密で美しくて、耐久性や外的な力から耐えるよう
作るのは大変です。
あれこれ山のような問題をあーだこーだとさんざん考え、絵を描いたり部分のあり方を
いろいろな方法で試し、絵にして又試し、さらに又悩みます。
大筋が決まったら図面を描き試作、テストピースを作り微調整、、。
本作が始まりじわじわと形になって全体の形を表してきます。
胸のドキドキもじょじょに激しくなっていきます。
うまくいく部分もダメな部分もまあまあな部分も悔しい部分も色々現れます。
楽しいですね。
出来上がるまでは自分の手の中でなんでもありの作業、
表に出すまでは途中がどんなものであろうと自分だけの世界です。