2020年11月23日月曜日

30年ぶりの再会

 はるか昔、三十数年前にご注文いただいてお作りしたフライフィッシングのパックロッドケースです。2つお作りしてこちらは当時やっと手に入れたレギュラーで生産されている国産のタンニン鞣しの革で作成したものです。
蓋を開けた筒の内側はスエードです。
蓋の上とケースの下は入れ駒で縫い、表の革は上から下までスクイ縫いの合わせです。
今思い出してもドキドキするようなトライでした。
メンテナンスのために送っていただき30年ぶりの再会です。







2020年11月11日水曜日

新しい試み少しだけ

風変わりな形ですが、オーダーでおつくりしたキーケースです。
大きなものから小さいものまで結構な数の鍵を収納しなくてはいけない条件だけをいただき、その他はお任せいただいたので、自由につくらせていただきました。強度を要する紐はアウトドア用の堅牢なものを使用し、ストッパーの役割をする金具は2本分の紐の太さに合うように真鍮線を巻いて自作しました。そして地味ですが、口元の縫いに新しい試みを取り入れました。閑清縫いという江戸末期から明治期の煙草入れに見られた技法です。写真を見るだけでは謎の多い技法でしたが数年前に骨董品をお借りできる機会が何回かあり、どういう構造になっているのか、どんな理由や意図がありそんな技法が生まれたのか少しづつわかってきたところだったので、何かに取り入れたいと密かに思っていました。まだまだ研究の余地しかありませんが、そんなつくりてのワガママを聞いていただけるお客様に感謝しております。




 

2020年11月1日日曜日

コードバンの名刺入れ

 コードバンの黒、紺、バーガンディで名刺入れを作ってみました。
写真ではわからないかも知れませんが、この美しさはこの革が持っている独特のものです。
作り手から言うと、緻密でしっかりした組織をもつタンニン鞣し革を仕立てる面白さ
を味あわせてくれる楽しい革でした。







2020年10月27日火曜日

コードバンの万年筆ケース

 ブライドルレザーやボックスカーフで仕立てることの多いこの万年筆ケースですが、今回はコードバンでというご注文でした。手染めのコードバンの艶はもちろん美しく独特ですが、この革ならではの難しい特徴をどうこなすかに神経をつかいました。そして、出来上がりの見た目からは何もわからないのですが、実は「モンブランの149を入れてもガタつかないように」というご要望に沿った仕掛けを仕込んであります。149を滑り込ませるとひゅるんときもちよく吸い込まれ、ピタッとフィットするようになっています。













2020年10月17日土曜日

ボックスカーフのクラッチバッグ

 O様ご注文のボックスカーフのクラッチバッグ。
金具はオリジナルスターリングシルバーです、革は外、内ともお好みのこだわりの革でご注文をいただきました。数年前からFugeeのスタンダード鞄として主にボックスカーフで作らせていただいております。A4サイズの書類入れです。
金具、プロポーション、革との兼ね合いが気に入っております。




2020年10月11日日曜日

小さな鞄

Fugeeでは鞄を作る時と小物を作る時とで革や作業全体の見方を全く変えます。
小物は使われる方の手の中に収まるもので、全てを同じ基準で眺められる品物です。
又、ポケット等の狭いスペースに入れられることも多いのも現実です。
そして使用する革も鞄と比べると薄くその膨らみ感は微妙な物になります。
でもこの少し大きめの財布はカバンを作るような革の使い方、仕立ての仕方をしました。
ふっくらしっとりした革の質感がよく出た小さな鞄のようになりました。





 

2020年10月6日火曜日

Fugee の小物

 毎年恒例、夏の小物制作期間も終わり、オーダーいただいたお客様の元に少しずつ納品が進んでいます。旅立つ前に夏の成果を写真に収めるのは楽しみでもあります。



2020年9月28日月曜日

赤茶色の真鍮フレームの鞄

こちらはもう一つの赤茶色のカーフシボ革の鞄の完成図です。

オイルの入ったこの革の特性を考えて持ち手の仕立て方を黒い鞄の方と変えました。そのほか張りを調整するための裏打ちや細かい漉きなども革によって違いますが、基本的にはビジネススタイルの書類鞄を意識したプロポーションです。
カジュアルからスーツスタイルまで幅広いお洒落を楽しまれるS様(たまたまですが黒い鞄のお客様と同じ頭文字でした!)にぴったりの鞄になったと思っております。

口枠の鞄を追求するFugeeが提案する新しい真鍮フレームの鞄を楽しんでいただけましたら幸いです。



 

2020年9月22日火曜日

黒い真鍮フレームの鞄

S様ご依頼の真鍮フレームの鞄が出来上がりました。
こちらは象革の黒で仕立てたものです。
擦れに強い象革が剛性の高い真鍮のアングルフレームにいい角度でぶら下がった、
力の方向性的に理にかなった構造の鞄です。
5年、10年、更にその後の経年変化が楽しみです。










 

2020年9月14日月曜日

真鍮フレームの書類鞄(5)

 試作での検討が終わり、どこにどういう状態で本作の革を使っていくかも決められたら
本作の部品作り、組み立てです。
ここでもやっぱり「見落とし」「新しい問題発覚」「素敵な方法発見」等々あり
進み方は遅いです。
例えば持ち手の芯の検討では芯の素材はもちろんですが
理想的な形になるまで何度か削り直すこともあります。
何はともあれ納得のいく鞄に仕立てるのは難しい。








2020年9月6日日曜日

真鍮フレームの書類鞄 (4)

何ども金具制作場面で恐縮ですがアナログな鞄屋にとっては革で鞄を形作っていくのと同列の大事な作業なので是非ご覧いただきたく思います。いかにも手作り感満載で拙い作業だと思います。でもこれこそが私達にとっては未知の作品への挑戦です。革も全く同じ感覚で接し、制作しています。奇をてらう事がない鞄でなお私たち以外には表現してこなかった鞄作りをしたいものです。















 

2020年8月26日水曜日

真鍮フレームの書類鞄 (3)

 金具づくりと並行しながら鞄本体の試作や本作も進めます。

上の写真は試作です。実際にどのくらいの張りや硬さの鞄を目指すか、真鍮枠も仮に取り付けて検討していきます。枠と持ち手とのバランス、これから作る小さい金属パーツの大きさなども検証します。三次元の立体になると当然ですが革のボリューム感など、図面の段階では感じられなかったものが出てくるので、気持ちも盛り上がります。

本作は、赤茶色のカーフのシボ革(写真2枚目)と黒い象革(写真3枚目)です。





2020年8月18日火曜日

真鍮フレームの書類鞄 (2)

 人それぞれ胸躍る瞬間は違うとは思いますが私はこういう物をいじっている時本当に楽しいんです。部品のある物はおおざっぱに機械加工してあります。ある物は板だの塊だのから切り出します。それを図面にあわせて切ったり曲げたり削ったりネジ切ったりしながら組み立てていきます。 








2020年8月8日土曜日

真鍮フレームの書類鞄

現代も口枠鞄の魅力に取り憑かれる人は大勢います。革という質感豊かな素材と少し時代かかった口枠がうまく融合した時のプロポーションの美しさ。口枠の開閉時の動きにも魅了されるようです。私共作り手にとっても色々な表現を試してみたい素晴らしい組み合わせです。

長年の夢であった真鍮無垢の口枠は20年近く前に図面を描いてありましたが、2017年に制作を引き受けてくださるところが見つかり大きめのボストンバッグを作ることができました。

http://fugeebags.blogspot.com/2018/01/blog-post_20.html

その後小さめの2サイズの枠を追加制作を依頼、今年は中間サイズ枠を使った鞄2点を作らせていただきました。このシリーズの定番化ができたらと考えています。

これから何回かに渡って、この2点の鞄の制作過程をご紹介しようと思います。











2020年8月1日土曜日

紺色のPNBX型 ショルダーバッグ

お客様の中に時々Fugeeの鞄が手縫いであることをご存知ない、あるいは気がつかれない
ままお買い上げいただきご使用いただいている場合があります。
でもそれはそれで素敵なことだと思います。
Fugeeの手縫いはそれだけを声高に言うべきものではありません。
クオリティを維持する為ベストを探った結果の方法です。
実はミシンの方が良いと言う箇所も存在して、そこは当然ミシンなのです。
あえて言うなら手縫いは「品質を高く維持する為Fugeeではこうしよう」
と言う作業の中の一つです。
ですからある時は紺のブライドルレザーの落ち着いた美しさをそのまま見せたいなら
ステッチが派手な色の手縫いである必要はない場合もあり、
目立たない表現でひっそりと縫う場合もあります。
でもよく見て頂けると、長くご使用いただけると、Fugeeが何をしようとしているのかが
お分かり頂けるかもしれません。









2020年7月25日土曜日

2020 Fugee 夏

7月も後半というのに太陽のないジメジメした日々が続いています。
夏といえばFugeeでは毎年恒例の小物制作の季節です。
暑いアトリエで小さいパーツを汗を垂らしながらいじっているはずなのですが、
同じ暑さでもこの続く湿気にはそろそろ閉口しています。
同じ作品を数個作る時、革の種類によってハリやチョウシを変えることをします。
これからしばらくはノギスを片手に革の厚みの管理と細かいスキの作業が続きます。
この小さな革達が形を表してきてひと目でどういう部品かわかる頃には
梅雨が明けていればいいなと思います。
久しぶりに庭になったわずかな梅の土用干しも楽しみな梅雨の1日です。





2020年7月16日木曜日

4年目のFM42

予期せぬアクシデントに見舞われてできてしまった口枠の右肩部分の深めの傷を
たいへん気にされてH様がFugeeにいらしたのは、
この鞄を納品して1年経ってなかった頃だと記憶しております。
私どもに出来ることにはもちろん限界があり、もとどうりにする事は不可能なのですが、いろいろ手を尽くして傷が目立たなくなるように手当てをします。
持ち主も作り手も当然のように目はその部分に行きますが、
月日の経年変化や使用感が少しずつその傷にさえ
ある種の存在感を加える様になってきました。
革のエイジングは、言い換えれば朽ち果てていく過程の美しさとも言えます。
自分達の作品とそういう向き合い方が出来る幸せを感じています。
2年ほど前にお買い上げいただいたコードバンの黒いクラッチバッグとともにメンテナンスでお預かりしました。