2020年7月11日土曜日

棒屋根金具のハンドバッグ(4)

革の張りの美しさや金具の質感の美しさ。
開閉の時の巧みな動きの面白さ等が一つの鞄を作り出しています。
私たちが望むのはそれらをそのまま見せられるように。
削られたり不協和だったりするような邪魔をした仕立てをしていないか
いつも考え感じて慎重に作業を進めます。
それにしてもチャレンジに対する素材の許容範囲の大きさに助けられます。
棒屋根ボックスカーフハンドバッグができました。





2020年6月30日火曜日

棒屋根金具のハンドバッグ(3)

持ち手の作成工程です。
握るあたりの断面が円になるようにしてみました。
初めて見る方は手はこうやって作るんだと思うかもしれません。
こういう持ち手を幾つも作られている方はなんだこりゃと思うかもしれません。
私どもは持ち手に限らず鞄の作り方というのを決めてはいません。
例えばハンドバッグではなくずっと大きな鞄の持ち手でしたら
外見は同じでも中身の作り方は全く違ったと思います。
どんな場面でも毎回その時のベストをFugeeなりに探りたいからです。
そういう鞄作りは何十年続けても面白いのです。
初めて革をいじって何かを作った時と同じドキドキをずっと感じながら作る事が
私たちにとって大切な事なのです。
決まった物を決まったようにたくさん作り出すプロより新しい方法を綱渡りしながら
試すアマチュア?を目指します。





2020年6月25日木曜日

棒屋根金具のハンドバッグ(2)

革はボックスカーフの黒。
実は靴屋さんが使うボックスカーフと鞄屋が使うそれとは少し違う所があります。
厚さや表面処理の仕方が異なる場合が多いようです。
この革の持っている本質的な質感、癖、を常に的確につかむのは難しいものです。
大きな特徴の一つは腰の強さでしょうか。
今回も革の厚みをテストを繰り返し慎重に調整し決めていきます。
それらがピタッと決まれば本当に美しい鞄ができる素材で、
しかも耐久性にも優れているんです。
長いこと使っておりますが、初めて使った時から惚れっぱなしの革です。







2020年6月15日月曜日

棒屋根金具のハンドバッグ(1)

ファスナーが開発される以前、金属の口枠を使い開閉させるタイプの鞄がポピュラーだった時代がありました。
繰り返しの開閉に対して正確で耐久性がありかつ美しいものが作られました。
これは「棒屋根」と呼ばれる口枠です。アンティーク品ではありませんが、
ドイツの金具メーカーのもので30年くらい前に手に入れたものです。
残念ながら今は作っていないようです。
これを手に入れた時の嬉しさはよく覚えています。
今回は枠の構造については述べませんが、鞄屋的に言うと、
この枠の下にぶら下がる鞄の本体部分はかなりの自由度があります。
これは小さめの長さ30cmのものなのでハンドバッグによく使いました。
鞄作りの面白さは可能性追求の面白さでもあります。
夢を広げてくれた金具もこのサイズは最後の一つになりました。






         





2020年6月5日金曜日

タタミ

何ともう30年近く経ちました。
まだFugeeが国立にあった、カラーの麻糸なぞどこでどう調達するのだろうという時代。

今も友達としてお付き合いさせてもらっている立川の同業者から「こんなのが手に入ったから一つあげる」と言われて使い始めたのが木綿の風合いの畳屋さんが使っているこの糸です。無限に使える量があると思われた太い巻き。
質感が気に入りFugee定番BK41型などの太めのステッチが映える鞄に今でも愛用し続けています。
どんなものも使えば減るもので、ハタと気がつけば後わずか、急に不安になりあちこち
探し近くの畳屋さんから分けていただける事となりホッとしております。
いただいた時と全く変わっていない新しい巻の糸、きっと30年は持ちます。
30年、、、、。







2020年5月26日火曜日

自粛でも嬉しいことも、、

まだまだ続きそうとはいえ自粛解除になりました。
物を作る仕事の私どものこの間の日々の生活にはそれ程大きな変化は
ないと思っていたのですが、やはりたまには友人に会いたい、話したいものです。
そんな我慢の生活が続いております。
そんな中で嬉しかったこと三つ。
一つは
鞄の生徒さんにご自分の刃物の砥ぎを再チェックしてゆっくりと振り返って頂く
提案をしたところ皆さん刃物との向き合い方が素晴らしくて嬉しくなりました。
ありがとうございます。

二つ目は
某有名なコーヒー店のご主人から教えを受けているという方から豆を頂きました。
Fugeeでは国立時代から30年以上お客様にコーヒーをお出ししています。
うちで飲まれた皆様にはすみませんが正直にいうと未だによくわからないのですが。
でもコーヒーを入れるのも飲むのも大好きです。
一応気合を入れてドリップ中です。
ありがとうございます。

三つ目に
庭に梅の老木があります。
7年前にたくさんなって収穫して以来全くできなかった実が
たくさんというほどではない様ですが今年収穫できました。
梅干しにします。
ありがとうございます。




2020年5月17日日曜日

六芒星の口枠鞄(7)

鞄がアタッチメントを取り付けたトロリーケースに置かれたました。
移動中の鞄の振れや脱落防止のためのものですが、
取り付け取り外しが簡単な事も大切です。
それとアタッチメントはなるべく目立たなく風体がコンパクトであること。
工房の周りの歩道、砂利、段差いろいろ押したり引いたり試して
全く大丈夫であることを確認して完了です。
鞄もアタッチメントも、アナログにひとつずつ可能性を探るという
Fugeeにふさわしい仕事でした。









2020年5月10日日曜日

六芒星の口枠鞄(6)

この鞄の製作過程の紹介も終わりに近づきました。
その前にトロリーケースにワンタッチで取り付けるアタッチメント
をご覧いただけたらと思い載せてみました。
楽しい試行錯誤でした。
作らせて頂いたK様に感謝いたします。


















2020年5月2日土曜日

六芒星の口枠鞄(5)

なかなかキレイな六角形になったと思います。
今回の鞄はどの部品もコバ磨きではなくヘリ返しという革の先端を
折り返す方法で仕立てました。
この革で作った磨きとヘリ返しのテストピースをお客様と検討の結果
今回は部品ごとのメリハリをなくしてあまり境目を感じない全体の一体感を
出した仕立てにしました。





2020年4月25日土曜日

六芒星の口枠鞄(4)

見慣れない形の2つの物体。
実はこれらは、トローリーバッグに鞄を装着するための部品です。
鞄本体が出来上がった状況ではまだ折り返し地点に立ったに過ぎなかったのが
このオーダーでした。
部品点数は最小に、部品自体の重量も軽く、装着もなるべく簡単に、そして鞄本体にはショルダー紐以外のものは何もつけない、これらの条件を満たすものを探りました。
鞄以外のものですし、私どもも全く初めての挑戦でしたので、アイディア出しから何度かの試作を経て最終的な着地点が決まるまではかなりの時間がかかりましたが、シンプルでおもしろいものができました。
興味に溢れた楽しい、そして自由な発想による過程こそがものつくりの本質ではないだろうかと感じております。
2枚目以降の写真は制作過程の紆余曲折です。







2020年4月16日木曜日

六芒星の口枠鞄(3)

鞄を作る時に考えることはたくさんあります。
革、仕立ての方向性、その二つの相性、更に鞄のサイズ等によって
全く異なる鞄になります。
耐久性も担保しながら広い面積で革の美しさを見せるのが鞄と言えます。
その観点から言うと手に持って美しい鞄をつくるとき、
普通は肩掛けの紐はないほうが良いと思います。
今回の鞄はお客様のご希望の肩紐に面白い役目を考えることにしました。
鞄の雰囲気に合わせたシンプルに見える今回の肩紐は手の込んだものです。




2020年4月7日火曜日

Fugee近況

パソコンの不具合が続き、ブログ更新がなかなかできませんでした。
というのもありますが、コロナウイルスの世界感染拡大のことでどうもふわふわと気持ちが落ち着かない日々が続いており、ハッと気がつけば仕事の手がとまっていたりします。
仲間の話を聞くと多かれ少なかれ似たような思いをしているようです。
それでも、海外の友人たちとお互いに心配の連絡を取り合ったり、庭の梅の木が7年ぶりにたくさん実をつけてくれたことに心が踊ったり、ちょっと開き直って読みたかった本を読む時間を取ろうとしたり、スーパームーンを見て喜んだりしながらうまくバランスを取ろうとしています。
4月6日発売の雑誌、メンズプレシャス春号「世界のクラフツマンシップと心優しき名品たち」という特集の中に掲載していただきました。
良い季節なのに家にいなくてはいけない日々が続きそうです。
ご興味のある方はぜひお手にとってみてください。


2020年3月28日土曜日

六芒星の口枠鞄(2)

型紙の検討には随分時間をかけましたが使用する革の表情、質感を見極めながら
いざ制作です。
漉きと裏打ちのテストも時間をかけます。
仕立てとしてはそれ程複雑なものではありませんが出来上がったときの
この革ならではの鞄の表情は未知数なのでテストも必然となります。



2020年3月21日土曜日

六芒星の口枠鞄(1)

「星形の鞄」というお題をいただいた時はちょっと驚きましたが
可能性を探る面白い仕事だと思いました。
口枠を閉じた時に入り込む部分の左右の角を強調させて星形六角形の角になる、
そんなイメージをはっきりお持ちの K様 でした。
プロポーションが一般的な鞄とかなり違うため、当初は胴は分割しないと型紙的に無理がありすぎると考えました。
それでも手曲げでつくる口枠の寸法を探りながらの図面と試作検討で
胴革を前後一枚づつのシンプルなものにまとめることができました。
下の二枚の写真は試作時です。できれば前から見た時に繋ぎ目がない方がより「星」らしさを強調できるはずなのです。





                                         

                                     







2020年3月11日水曜日

Oyazine

「親爺がつくる親爺のためのいい加減な雑誌」という副題がついた「Oyazine」。
デザイナーでありフォトグラファーでもある島さんがつくっています。
不定期に発行されるこの雑誌は、島さんと40歳以上の親爺執筆者( Oyazineスピリッツがあれば性別、プロ、アマを問わないらしい)による投稿で構成されています。
世間からはみ出しているように見えるかもしれないけれど、自分に対してはとことん正直者を貫くOYAzineたちのディープな世界が展開され、どの号も引き込まれます。
ひょんなご縁で親爺フジイが取材をいただき、最新号の記事になりました。写真(なんと表紙も!)と文章は島さんによるものです。Oyazineフィルターを通して語られるフジイ像がいい味わいです。

読んでみたい方は是非Fugeeまで足をお運びください。差し上げます。
また、Oyazineは置いてくれる店を募集しているということなので、
ご興味のある方、心当たりのある方は下記までお問い合わせください。

https://www.facebook.com/oyazine/




2020年3月3日火曜日

8年目の顔

思えばこの鞄をつくるために革を広げている写真がこのブログの1回目でした。
あれから丸8年。あの時はまだ渋谷の小さな店で仕事をしていました。
この鞄がN様のもとで刻んだ時間を思うとともに、Fugeeのこの8年間をあれやこれやと思い出しながらメンテナンスをさせていただきました。
ご愛用いただき使用頻度もかなり多かったとのことで、擦れ傷の多かったパッチやパイピングの部分などに補色をしつつ全体に丁寧に油分を補いました。
ダークグリーンの山羊革の色が濃くなり艶感も増し、タンニン鞣しの革らしい経年変化がいちだんと深い味わいを見せてくれています。
鞄ともども、これからも長いお付き合いをよろしくお願いいたします。 





2020年2月24日月曜日

やわらかいリュックサック (5)

完成してご注文いただいたお客様のところに行くしばらくの間
制作の反省も兼ねて数日時間があれば眺めています。
お客様の長い相棒としてご使用いただけたら制作者みよりです。
鞄を通しての長いお付き合いもこれから始まります。
どういう経年変化をしていくか楽しみです。







2020年2月17日月曜日

やわらかいリュックサック(4)

それぞれのパーツを一つ一つこだわって制作した鞄です。
巾着部分を絞る紐は実験の結果象革がベストでした。
リュックサックは一般的に背中で重さを受けるので表側は長く使用すると
革自体が垂れ下がることになります。
その感じが嫌で表側を支えるフックを取り付けました。
背中側の貴重品入れポケットのファスナーは存在が気にならず
引きやすい形を工夫し自作しました。




2020年2月8日土曜日

やわらかいリュックサック(3)

何とかここまで出来上がりました。
バックル用の穴を開けファスナーの引手を作り
リュックの口もとを閉める紐を取り付ければ出来上がり。
作り手としては面白い工夫をあちこちに組み入れた鞄なのですが
四角く横たわっている姿はどうってことはありません。
そうです、ディティールだけが目立つようではいい鞄とは言えません。
ちょっと癪だったりもしますが、
細部は鞄のトータルを美しくするものでなくては意味がないのです。