2015年8月31日月曜日

ボックスカーフのハンドバッグ(3)

ボックスカーフは高級靴では知られた素材ですが、美しい鞄となったものを見かけることがほとんどないのは、その扱いの難しさにあるといえるでしょう。
前胴、背胴に立体感を出してふっくらと膨らませました。
その胴と襠とのステッチは手縫いならではの入れ駒縫いです。
どのくらい膨らませるか、縫い合わせ部の質感はどうか、胴と襠の距離感は、等
例によってわからない所だらけです。
テストピースと二度ほどの試作を繰り返し問題をつぶしてから、
いよいよ本作に入ります。
ボックスカーフとスターリングシルバーの美しさが際立つものになりました。








2015年8月26日水曜日

ボックスカーフのハンドバッグ(2)

ポイントとなる金具はワックスを削り、シルバー925のキャストで制作しました。
棒の部分は、以前住んでいた古い日本家屋の引き戸についていたネジ式の鍵をモチーフにしました。
このように単純で重量感のあるものはボリュウムに気をつけないと
大き過ぎても、小さ過ぎても間が抜けたものになります。
棒の太さ、摘み部分の厚み、受けのボリュウムずいぶん検討しました。




2015年8月21日金曜日

ボックスカーフのハンドバッグ(1)

小さなハンドバッグのご依頼があり、かねてからあたためていた形を提案させて
いただきました。お客さまにも気に入っていただき、具現化することができました。
いかにもフォーマルといった雰囲気をもつボックスカーフの黒で、
箱形の仕立ての鞄です。
鞄屋としては挑み甲斐のある素材と仕立てのマッチングです。
まずは、図面と試作の写真から。





2015年8月17日月曜日

お休みのお知らせ

都合により、8月18日(火曜日)19日(水曜日)お休みいたします。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。


2015年8月13日木曜日

H 様の赤いステッチの鞄

定番のFM42型です。
定番の鞄は仕立て上、あるいは在庫の状況で規制が入ることもありますが、
革の種類と色、金具の種類と素材(真鍮、銀)、持ち手の形、ステッチの色等、
をお選び頂いてお作りしております。
時には手の大きさに合わせた持ち手でお作りすることもいたします。
この鞄の場合、ブライドルレザー、バーガンディー、 イタリアバレーゼのデッドストック真鍮錠前、持ち手はご希望によりシャープな印象のコバ磨きのタイプになりました。
そしてステッチがおしゃれなH様ならではの赤です。
糸の革へのとけ込み具合も美しく、鞄全体がお人柄を表す素敵な物になりました。
いつもスーツをお召しになり、たくさん荷物を入れた鞄を涼しげにお持ちになり
お出でになります。
少しずつ革の表情が変化して、美しくH様の色に染まりながら6年が過ぎました。




2015年8月5日水曜日

パナマの鞄

思い出に残る鞄の一つです。
上質のパナマで奥様のハンドバッグと揃いの鞄を作らせて頂きました。
こちらは原稿用紙が入るサイズの襠の無い薄い鞄です。
持ち手とギボシ止めが特徴です。
革はアニリンカーフでパナマの邪魔をしないようステッチはあまり目立ちません。
大変気に入って頂けた鞄でした。
頼まれたのは生前の三國連太郎さんです。
いまでも鞄をお持ちになりひょっこり訪ねてくれるような気がします。