同じフレームと真鍮金具を使ってはいるものの、つくった我々自身が想像した以上に
元の鞄の片鱗を残さない新しいものになりました。
革屋さんの色の表記はNoir(黒)とありましたが、グレーのような、鈍い鉄のような、光によって見え方が変わる素敵な色の山羊革の艶が、鞄のカーブを引き立てます。
2012年の冬に、フランスから買って来たばかりの古いカバンをO様にお見せしながら、
「これで新しい鞄をつくりたいのだ!」と夢を語ったフジイでした。
その夢に賛同していただき、多くのことをおまかせいただき、長い時間を待っていただいたO様には本当に感謝しております。
解体前の鞄の全体写真が一枚も残っていないのが(あるのは記録のための部分写真ばかり)ほんとうに心残りです。