2014年4月4日金曜日

羊屋さんとHiro Yanagimachiさんのしごと

2年とすこし前、誂えのスーツ屋、靴屋、鞄屋が集まったら、何か面白いことが出来そうじゃないかと、お二方にお声をかけたことからスタートした、Real Bespoke企画。
もちろんそれ以前にも交流はあったとはいえ、異業種同士の3工房。まずはじめたのが、
それぞれの工房に足を運び、お互いにお互いの仕事を詳しくプレゼンテーションし合うことでした。お互いの工房では、うわーそんなことまでやるのかーと関心しあうことしきりでした。分かったのは、どの工房も非常にオリジナリティのある仕事をしているということ。いいしごとを追求していくと、必然的に独自のメソッドにたどり着き、またそれは
良い方向に変化し続けるということでした。そして、クオリティー追求の為のものづくりは、効率や採算といったものから発するものづくりとは真逆ものなのだということを強く実感しました。
当初はオーダー会を兼ねたものにしようなどという案もありましたが、いっそのことそういうのは抜きで、ものづくりとは何かということや職人の心意気が伝わるようなものにしたいという考えに至ったのは、お互いにお互いの仕事に感動し合えた体験があったからです。
私共鞄屋と、他2工房の大きな違いにも気付かされました。鞄は、それを使う人から離れた存在ですが、スーツも靴も使う人の体に密着したものだということです。オーダー(ビスポーク)であれば、切実にお客様それぞれの体にフィットしなければならない。骨張ったり、肉張ったり、いろんな質感を持ち、実は左右対称でもない人体にエレガントにフィットするものをつくりださなければならない難しさ。彼らの技術の多くはそのためのものであるといってもいいでしょう。(それに比べ鞄は、「入れるもの」が「人体」でないだけ、自由度があり、アクセサリー的な要素も多く含み、つくるものの範囲も無限大です。)
そしてお二方とも口を揃えて、自分たちのつくるものは、お客様のキャラクターよりも目立つようなもであってはならず、それを身につけた方がより自分らしさを感じ、さりげなくその方を素敵に演出するものでなくてはならないとおっしゃいます。
おお、なんてかっこいい!
そんなお二方のしごとを、心から尊敬しております。