2014年4月6日日曜日

カスタマーモデル紹介No.1 K.I 様のトランク

Real Bespoke展に展示させて頂いたものをゾーン別に、一つ一つについて詳細見どころ、裏話を紹介させて頂きます。まずは、現在ご使用になっている鞄達です。過去にオーダー頂き制作させて頂いた7点をお客様の生の声と共に展示させて頂いた「カスタマーモデル」ゾーンの鞄からです。

最初はK.I 様の小型のトランクを紹介させて頂きます。
表の革はイタリアの手揉みのタンニン鞣し、金具はデッドストックの英国チェニー社のもので、鞄制作は16年程前です。
検討を重ね図面を描いて木枠を発注。出来た枠をお見せしたところ大きさのイメージが少し違うとのこと、再度作りお見せしてOKとなりました。その枠で制作したのがこの小型トランクです。本当に美しいプロポーションのトランクになりました。この鞄には聖書を入れられて持たれるとお聞きしたので、優しいイメージのものを作ろうと思い、ご希望のコーナーのパッチは薄めに小振りに、そして一般的にほとんどの木枠のケースに付いている金属の蝶番をやめ、革で蓋の開け閉ての動きを吸収する構造にしました。もう一つの特徴は、後ろをシンプルにするため蓋の口元から後ろ(底)を一周して胴の口元まで一枚の革で仕立ててあることです。全体に華美でなく素朴でしっかりしたものができました。多くのご来場者様から「美しい」との声を頂きましたのはK.I 様の、持つものに対するこだわりが引き出してくれたのだと感服いたしております。