N様のコレクション。
メンテナンスでお預かりしました。
使用頻度の多いものは擦れたり擦り切れたりのダメージも当然ながらありますが、ちょっとした縫い直しや部分的な色の補正など細かいところをチェックしながら全体的に油分を補給していくと、革がふわーっと息を吹き返す瞬間を感じる時があります。そこからみるみるうちに表情が甦ってくるのが分かります。手をかけると反応で返してくれるのは天然素材ならではのことなのですが、つくるときの革の扱いと仕立てがまっとうでなければそれはかないません。メンテナンス中に良い反応が帰ってきたときの喜びはつくったものだけが味わえるささやかなご褒美です。