前回の投稿でお見せしたブライドルレザーとボックスカーフのダレスバッグのメンテナンス後の写真です。
前回の投稿と比べてみてください。
革それぞれの素敵さ良さはどこにあるのか、色々な見方はあるとは思いますが、私はお使いになる方と革鞄が共に年を取っていく、という事が一つあると思っています。
出来上がったばかりの鞄は、作り手の考え感じた美しい質感のものとしてあります。
年月を経ながら、繰り返しの曲げ伸ばしをされ、色々な物にもぶつかり、傷つき繊維がほぐれ、質感を変えつつお使いになっている方の色に染まって行きます。そして、制作者の手をすっかり離れた存在になりそれぞれの鞄はそれぞれの時の流れを経て存在している物になるのです。
使う方の色に染まった鞄、それは実は革が年月を経て朽ち果てて行く過程にあるといえるのです。
革は、メンテナンスをしながらという条件は付きますが、朽ち果てて行く過程が美しいものなのです。
そしてそれがうまく出る様な仕立ての方向を探るのが鞄屋の仕事です。