Fugee 鞄話色々
アナログな製作現場からのひとこま
2023年5月31日水曜日
ボックスカーフの茶箱 4
作業は全て互いに関連しています。
コバの厚みを革2枚分にする為木枠の端に革の帯を埋め込みました。
革を折り曲げる部分(写真中、下)は原厚から0,5mmに段に
漉いて(写真上)
ルーズなRでなくエッジに折れるようにします。
難しいのは縦も横もまったくのハメころしで逃げがないことです。
部品それぞれにテストテストでデータを取り本番につなげていく作業の繰り返しになりました。
2023年5月23日火曜日
ボックスカーフの茶箱 3
依頼して出来上がってきた木枠です。
私達が本当に助かるのは限界的に図面寸法で出来上がってくることです。
意図的に微妙なテーパーが必要な時や革の厚みの関係で更にこちらで部分的に少し削ることはありますが毎回の的確なもの作りには頭が下がります。
今回話を進める中で提案いただいたのはアガジスという比較的軽い木で
20年以上寝かせた
いい素材があると言うことでお願いしました。
と言うより木に関してはほとんど何もわからない私達はいつも
作る枠の必要な条件を
伝え、
毎回どう答えを出してくれるか口を開けて
彼の話を待っていると言うのが本当のところです。
私たちの思い以上の答えを出そうとしてくれる人だからこそ
20年以上のお付き合いをさせていただいています。
2023年5月10日水曜日
ボックスカーフの茶箱 2
外側のボックスカーフの見せ方、ステッチの検討です。
革に関して多くの知識と感性をお持ちのクライアントに試作の様子をお見せして
方向を決めます。
胴の革の切り口と側面の革が同じ面になるように、更に胴の革の切り口が革を2枚合わせた3mm程度の厚みにと言うご希望です。
非常に高いハードルをご提示いただき数日頭を冷やしてから作戦を立て始めます。
ものをつくる時、素材によってその精度は異なりますが、今回は私共の革の作業で出来る限界か
と思える仕事でした。
2023年4月29日土曜日
ボックスカーフの茶箱 1
時々ではありますが夢中になれる我を忘れる仕事が入ることがあります。
今回のこの黒い箱は一言で言えば茶箱です。
パーソナルな茶道具を納め運ぶ為の革の箱になります。
写真は上から図面、内箱ありの時の蓋、内箱なしの時の蓋を閉めた様子です。
制作の一年弱前から検討に入り
図面を描き始めました。
あるメゾンに検討を依頼したと言うお話をお聞きして俄然「これよりいいものは何処にもない」と言うものを作ることにしました。
制作工程はいつもと同じ図面検討(いつもより時間がかかりました)、木部打ち合わせ発注、試作検討(これも長期にわたる作業でした)、本作(神経を研ぎ澄ましたほとんど進まない作業の日々が延々と続きます)。
でもできるんですね。
面白い仕事でした。
仕事の内容等を少しずつご紹介していこうと思います。
2023年4月16日日曜日
出番を待つ
写真は出番を待つパーツや素材。
ひとつの鞄にかかりっきりで取り組みたい。。。
でも水面下で進めなくてはならない計画、書かなくてはならない図面、教室の準備などが重なってなかなかままならないことも多々あります。それがお仕事というものなのかもしれません。それでもやっぱり、まとまって時間を取れて一気に集中して作り上げることができるのがいちばん気持ちの良いものです。
2023年4月9日日曜日
定番のショルダーバッグ
定番のショルダーバッグPNBX、現在の展示用鞄です。
ブライドルのバーガンディにセピア色のステッチ。
金具はデッドストックの日本の古い錠前をばらし、形を気に入ったように削り直したものを使用しています。
この鞄は、あるアンティークのカメラのケースの胴と駒(マチ部)の繋がりが非常に美しく完成度のある
仕立てだったのに動かされて発想し、出来たかたちです。
参考になったカメラケースはかなり小さなもので糸も切れかかり革も反り返ったりしていましたが、その仕立てのあり方は革をいじっている人ならではの発想だろうと思わせるもので、
革をよく知った人ならではのシンプルで機能的な作り方をしています。
こういうものはデザイナーと言う部門が全てを決める現代のもの作りではとても出来ないものだろうと思います。
2023年3月31日金曜日
試作の楽しみ
今回は定番のMK42、MK44の仕立て調整のための試作です。
試作は時間と手間がやたらと掛かる作業ですが実はとても楽しい作業です。
それはなんと言っても「どんな事を試しても良い」と言うところです。
もちろん何度も同じような事を繰り返す訳にはいきませんのでどう言うことを目的とした
試作なのかは綿密に検討はします。
でも何を検討するかと言うのは自由です。
こう言う仕立てを試したい、革の厚みはこのくらいでどんな表情の鞄になるか、形の限界は、全体を整えてどのくらい美しいものが出来そうか等々、糸の太さ、ステッチのピッチ、コバの厚さ、今まで見たかったあの部分を念入りに、、何でもOKです。
慎重に丁寧に鞄を作っていくのは勉強にもちろんなりますが、試作を色々な方向から眺めながら組み立て感じていくのも同じように勉強になります。
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