2025年6月19日木曜日

6月のしごと

 アトリエの窓から見える古い梅の木に付いた実の成長は春からとても楽しみでした。
今年の収穫は2日に渡り、トータルなんと20キロ超え!
梅仕事は増えますが、日々の暮らしに季節の風が吹くのは気持ちの良いことです。
そして日々アトリエにこもるFugeeの職人にも夏の遊びのお誘いなんかも
少しですが舞い込んできたりしています。大はしゃぎで遊ぶなんて疲れることはできませんがそれなりに夏を楽しもうと思っております。
もちろんですが、本業の鞄づくりのほうも頑張っております。            






2025年6月1日日曜日

男の外出鞄

「さて出かけようか」仕事以外の外出。
そんな時の男性が身の回りのものを持ち歩く素敵な鞄。
若い方からそしてご高齢の方からもそんなご相談を受けることがあります。
場合によりますがFugeeとしてはその方に合ったサイズ、仕立て、革、色の
しっかり仕立てた口枠の小ぶりな鞄(写真)や
同じように小ぶりに仕立てた箱物をお勧めしたりします。
柔らかめのトートバッグであらゆる場面をまかなうような今の風潮からは外れます
少しクラッシックな雰囲気を持った男仕立ての鞄も捨てがたい魅力があります。









2025年5月26日月曜日

こんな時代こそしっかりした革の出番

随分と大げさな見出しですが、、。
コロナ以降電車内では頭を下げて携帯に入り込む方が増えたと言うより
ほとんどの方が携帯に沈み込んでいると言ってもよいでしょう。
これはスーツを着る男性がパッタリと少なくなったのと同期しているように思えます。
ノーネクタイの装いがほとんどとなり靴はスニーカー鞄はトートバッグをお持ちで軽さを追求した柔らかい質感のものが主流になりました。
長い使用により美しい質感を出せるような丈夫な鞄を作ろうとして、
時には4mmもの厚さの革を使うこともある私どもは時代に逆行しているのかもしれません。
でも時代の流れと同じ方向を向いた画一的なものづくりは面白くありません。
Fugeeはこれからも共感していただける方がいらっしゃるかぎり
持ち味を出したものづくりをしていこうと思っております。




2025年5月14日水曜日

名のない鞄

 30年ほど前に制作した女性のための小さい鞄です。持ち手の付く棒屋根金具部分の重さに対して、軽さ、柔らかさと繊細さをどこまで追い込めるかを悩んでつくっていたのをよく覚えています。 

先日お客さまの S 様 が、中古品サイトで見つけてお買いになったこの鞄を、もしかしたらFugee製ではないでしょうかとお待ちになりました。
Fugeeでは基本的につくったもの本体にネームは入れておりません。(オリジナル錠前にのみ刻印が押してありますが)
それに関して強いポリシーはないのですが、何故か言われるとたぶんネームを入れたとたん急に鞄が「プロダクト」然としてしまうことに抵抗があるのではないかとおもいます。もうひとつ、綺麗にネームを入れる行為に神経を使いたくないというか、そのエネルギーがあったらその時つくっている鞄の仕立てに全力を注ぎたいのがリアルな本音です。

写真の鞄も、当時の意思と情熱がたくさん詰まった鞄で手前みそながらなかなかの秀作だと
おもいます。ブランド名や作家名が有名になり、付加価値が付いてどんどん値段が上がっていくのが今の世の中の在り方なのでしょう。でもその「付加価値」や「世の中の評価」は肝心な実際の「モノ」や「作品」の本質とはまったくかけ離れたものと感じることが多くあります。
名のない鞄であったため、中古品サイトでは格安で出品されていたそうですが、逆にいえば、
名がなくても何らかの雰囲気を纏ったものであったからこそ売りに出され、そしてFugeeの鞄だと確信して購入してくださる方がいらっしゃることが本当に有り難く、なんだかとても誇らしい気持ちになるのです。
名のないたくさんの素敵なアンティークの鞄から、多くのことを教わってきました。
つくり手の意思を感じるものたちの有りようは、名前の有る無しとは全く次元の違うものだと考えます。そしてFugeeはこれからも鞄にネームを入れることはしないのだとあらためておもうのです。



2025年4月30日水曜日

鞄のクオリティー

鞄屋Fugeeは四十数年になります。
その間ほとんど外部の同業者との接触はありませんでした。
おかげでどなたの影響も受けること無く好き勝手なものつくりをすることが出来たのは
とても良かったと思っております。
あえて言えば師と言えるのはいくつかのアンティークの鞄、
初期の頃はバラすことが勉強でした。
そして心がけているのは、今作るものはその作制方法はどんなものでも良いので昨日作ったものより必ずクオリティの高いものであるということです。
私が思うには技術なぞという固定されたものを振り回していては自分のベストを作るのは無理で逆にそれを捨てて、できればマッサラになって新しい方法や見方を模索していないと出来たもののクオリティーは劣化こそすれ進歩はありえないのです。
写真は大好きなアタッシェケースの制作です。






















2025年4月24日木曜日

ありがたいことです。

初めてのメンテナンスの為里帰りした定番BK41型鞄です。
2015年に御注文をいただき2018年に完成、7年間ご使用いただいております。
こちらが恐縮してしまうほど丁寧にご使用いただいている鞄です。
今から10年20年後の経年変化(見届けられるかわかりませんが)を切実に見たいです。
只々嬉しく、有難うございますと申し上げたいです。






2025年4月8日火曜日

春爛漫

長いこと掛かりっきりだった大きな鞄の制作が終わり、ホッとしているFugeeです。
必死でつくっているものが出来上がると、つくり手側のわれわれは魂が抜け出たようにぐったりしてしまいますが、逆に鞄のほうは命を帯び、その鞄としての時を刻みはじめるのを感じます。
いつのまにか季節はどんどん進み、お庭も春爛漫。
アトリエから見える古い梅の木が付けた実、今年ほど量も大きさも立派なときはあっただろうか。このまま順調に育ちますように!!