2014年2月22日土曜日

黒いファスナー鞄の制作過程

うっとりするような大好きな鞄ができることがあります。
この鞄はそれほど特徴的ではないのですが制作中の高揚感、姿を現した時には
ドキドキして手のひらから汗が出て行くのを感じました。
今までさんざんさわったり握ったりして作った物ですが、初めて持ってみる時は
思わず作業着で手を拭いたりして。

ホームページのマンスリーワークショップを更新しました。
是非ご覧下さい。’14 2月
 http://www.fugee.jp/monthly/index.html


Fugeeはただ今Real bespoke展に向けて奮闘中でございます。
3月18日〜23日皆様のお出で心よりお待ち申し上げております。
 http://realbespoke.info/  



2014年2月14日金曜日

エイジングはこれから

お客様がメンテナンスにお持ちになられた三兄弟です。
4年ご使用のFM42が一番年上とそれほど時間はたっておりませんが
それぞれにお客様の色が少しずつ付いてきました。
革の違い、仕立ての違い、お使いの状況の違いによってこれらの鞄の
お客様へのなじみ方が変わって来るのがわかります。
作りの丁寧さが大切なことを思い知らされる瞬間です。


2014年2月10日月曜日

素人でいるのは大事な事?

ご存知の方もおいでだと思いますが、鞄の中には裏返しで
すっかり縫い合わせてからコロッとひっくり返して仕立てるものがあります。
一般的と言える作り方の一つでしょう
でもここに写っている赤い糸は普通は無いと思います。
裏地用の革との合い印です。
とても素人くさい遠回りをした作り方をしています。
鞄を作られている多くの方にとっては理解不可能なやり方かもしれません。
製作中の鞄のベストクオリティーの模索は私達にとって必須条件です。
そしてその為の方法には一定の決まり事はありません。
自分たちが考え、たどり着いた方法を試みます。
より正確にきれいに裏地と表を縫い合わせたいという思いからこんな風に
なりました。
革の質感のイメージ。大きさ。耐久性。それらを満足させようとすると
必然的に思いにより近づくための方法を探るようになります。
そんな作り方をたどり、これは美しいカバ革の鞄になりました。


2014年2月2日日曜日

いらいらボックス?

この古い薬箪笥を買って使いはじめたのはたかだか6、7年前のことなのだが、
えらくつかい勝手がよく、これがくる前の日々の作業はどうしていたのか
思い出せないくらい、われわれの鞄づくりに溶け込んでいる。
骨董好きの人からは怒られそうだが、小さい真鍮釘を二本打ち、プレートを付けた。
作業途中に必要な引き出しを出してきて、机の上に置いてつかうことも多いのだが、
机上でも気にならない大きさなのもすばらしい。
軽さと虫喰いの感じから、素材は桐ではないかとおもう。
もともと薬のための入れものだったのだから華奢ではあるので、
あまり重さのあるものは入れずに、丁寧な出し入れを心がけている。
どこになにが入っているんだか分からなくなるくらい
たくさんの引き出しがついたものを、いらいらボックスって言うんだよと
友人から言われたことがある。すぼらな我々が一度出した引き出しを
同じ場所に返すわけもなく、確かに作業途中にお目当ての引き出しを探す時、
いらっとすることもある。
でもそんなことは気にならないくらいこの箪笥と日々触れ合えることがしっくりくる
というか、ここちよいのだ。