2012年6月29日金曜日

お休みのお知らせ

お休みいたします。
6月30日(土曜日),7月1日(日曜日)休ませて頂きます。
2日(月)は平常どうりお出でお待ち申し上げております。
Fugee(藤井鞄店)

チャリ革のボストンバッグ 2

K様のご要望のひとつに、「ホテルに鞄を預けた際に、意思表示程度のカギをつけられる
システムをつける」というのがあった。
片開きのファスナーの引き手に付ける南京錠用の金具は存在するが、両開きのファスナー
に対応するものはなかなか見ない。ファスナーのスライダーに付ける真鍮の金具を自作
しようかなどといろいろ試行錯誤したが、大げさに目立つものになるのを避けるため、
結局シンプルなシステムにした。
鞄から離れた存在の南京錠とその鍵を無くさないようにするためのケースを考えた。
とくにどうということはないものだが、こういう小さい部分こそ、手を尽くすように
心がけている。





2012年6月28日木曜日

チャリ革のボストンバッグ

PM40型をベースにしたフルオーダーのボストンバッグを納品させていただいた。
チャリ革とボックスカーフのコンビネーション。
主張の強い黒いチャリ革を、艶やかな焦げ茶色のボックスカーフがより引き立てている。
革のお好きなK様ならではの、こだわった選択。さすがです。




2012年6月27日水曜日

チャリ八方



ゴート(山羊)を手揉みしたシボの凄みと上品さを兼ね合わせた美しい革。
私が鞄を始めたころにはもうすでに貴重なもので、有名デパートの棚の
一番上に当時の名人が作ったであろうダレスだのカカエだのをよく見た。
ボックスカーフと同じようにあこがれの革で、いつか使ってみたいと思ったものだ。
ハガワでドル入れなどの小物をつくったことはあったが、
数年前にデットストックを手に入れることが出来た。
ゴツゴツとした見た目の印象よりも案外デリケートだが、とにかくその存在感と
質感には圧倒される。仕立て甲斐を感じると同時に、西洋人のつくった革とは
ひと味違う、古き良き日本の美意識を感じる素晴らしい革。



店置き用につくったダレスバッグ


フルオーダーのボストンバッグ



2012年6月22日金曜日

ザムザの足

       渋谷の店が出来る時に彫刻家が作ってくれたベンチの足。
       「ザムザ」と呼ばれかわいがられる一方
       尖った爪の先がお客様の靴を傷つけるため、
       ちょっとだけ煙たがられる存在だった。
       そこで、思いきって靴下を履かせることになった。

      めでたく、新しいアトリエのエントランスの主役に帰り咲いた。

2012年6月18日月曜日

30年たっても名馬

      手縫いに欠かせない道具のひとつ、「馬」。
      鞄を始めたばかりの頃、その辺にあった板で作った、おせじにも
      いいとは言えないもの。口さきに張った革も当時のまま。
      真っ黒になって妙な存在感を出している。
      でも、とても使いやすく、なくては困る特別な「馬」。



2012年6月14日木曜日

男性のための小さなショルダーバッグ

オーダー頂いた当時はまだ若かったM.Y.様の鞄。
「財布と小物のみが入るだけの小さなショルダーバッグ」という条件で
革も形もおまかせ頂いた。
ボックスカーフでカジュアルになり過ぎない上品な雰囲気を出したかった。
出来上がった鞄はあっさりしているが、硬く張りのあるボックスカーフを
一枚のように見せながら、いかに美しいふくらみを出すかが
この鞄のテーマであった。いかにも男性的なオーダーで思い出深い。





2012年6月10日日曜日

エイジング5

Y様にBK41型のカカエをオーダー頂いたのは、2004年の1月のことでした。
小さなお子さまを抱っこしてご来店なさったのがとても印象に残っています。
その時の二人の男の子の大きくなった写真を見せていただきました。
それぞれのお客様の人生にさりげなく心地よく寄り添う鞄であってほしいと
願います。


2012年6月6日水曜日

無限にひろがる自由な手縫いの世界

手縫いのメリットは以前にも少し書かせて頂きました。
2cm以上の厚物をあらん限りの力で糸を引いて縫ったりもします。
又、小物のすくい縫いなぞは細い糸をそっと引いていってその糸が張った所で
スッと力を抜く、、。それらは一目づつ、前に縫ったステッチと調子を合わせながら
縫い進めて行きます。美しく丹念な革の表情が現れてきます。
しかし、大切なもう一つの事を言いますと。
それは、表現の自由度が無限と言っていい程広いということです。
たとえば立体を作り上げたうえにさらに、ステッチを、他の立体を、複雑にも繊細にも加えることがミシンの比でなく出来るのも手縫いならではです。
私共の鞄の中には最後のまとめを、鞄の中に片手を入れ、外からキリでさしながら
縫ってまとめると言う物が多くあります。
理由は場合によって色々ですが、その手順のほうが美しくできるから、
しっかりとした物が作れるから、自分が意図した表情が出しやすいから、というところでしょうか。
私共のたのしい鞄づくりには本当に欠かせない手段の一つ、表現する為の方法、それが
手縫いなのです。