2017年12月25日月曜日

ながい道のり5

試作のボディーに口枠を仮止めして持ち手と加工中の金具をのせ
全体の感じを見てみます。
持ち手は将来1本のものと2本のもの両方をを考えています。
サイズも3種類作ろうと思っています。
まずは上がってきたこの枠で素敵なものを作らなくては。
今回は2本手で行くことにしました。
細かい修正をいろいろ決めていよいよ本作です。




2017年12月21日木曜日

ながい道のり4

真鍮のアングル型フレームに錠前と付属の金具がつきました。
今まで私が目にした事のないものです。
大きめのフレームに対して革で作る本体は少しだけソフトな、
厚み(マチ幅)はあまり大き過ぎないボストンバッグを考えていました。
初めて作った迫力のあるフレームに合う革、鞄のプロポーション。
思いは広がります。
幾つかの革の候補をながめたりさわったりしながら鞄の絵を描き、次に図面を描くところから鞄作りが始まります。
オーダーから外れたオリジナルの鞄作製です。




2017年12月16日土曜日

ながい道のり3

金具の制作もなんとか形になってきました。
自分がいじれる手加工の限界とその金属部品が必要とするクオリティーの兼ね合いを考えながらする作業は面白いものです。
今回も色々な気づきがあって、錠前部分は始めの部品図より機構がかなりシンプルなものになりました。
それでも組み合わせた部品の数は7個あります。






2017年12月10日日曜日

お休みのおしらせ

12月10日(日曜日)、都合によりお休みいたします。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。


2017年12月9日土曜日

ながーい道のり2

かなりの長い日々、金属の加工をしておりました。
部品の図面を描き、真鍮を切り出し削り、研磨します。
動きのつかめないものは試作をしたり、と言ってもほとんど手作業。
Fugeeでできる事は設計をする事と手加工。
ノコギリでカット、やすり掛けに研磨それと簡単なロー付け、
工房にある機械としては穴あけのためのボール盤とグラインダー、リューターです。
キャストに出したり、機械加工に出したり、それらを手作業のものと組み合わせたりしながらゆっくり、ゆっくり作っていきます。
機械的な動きをする部品ですから、ある正確さは必要です。
でも、その部品を微妙に削る時などにより美しいものにしたいと思いながら行う作業は
金属加工の機械にはできないことです。
あらゆる調整が可能なのは手です。(失敗をするのも手ですが。)
この人間の手の揺らぎほど大切なものはないと思っております。
もちろん、革をいじる時も同じで、どの部分をとっても不均一な個性を持っている動物の革こそ、素材の微妙さを感じながらできる手作業でなければその革の良さを表すことは難しいでしょう。




2017年12月2日土曜日

ながーい道のり

この図面は真鍮のフレームを使った鞄を作りたくて15年以上前に
描いてあったもので、当時何軒か製作所を当たって、
結果作って頂けるところがなくてあきらめていたものです。
ところが昨年お知り合いになった方の紹介の製作所で作って頂ける事になり、
私たちのふつふつとした想いは現実のものとなる気配を見せてきました。
しばらくして送られてきた部分試作が写真のものです。

今回の投稿を初めとしてこの枠を使った鞄が出来上がるまでを順次ご紹介しようと
思っております。
興味をお持ちの方は是非ご覧ください。



2017年11月25日土曜日

魅惑の口枠鞄

昔はよかったなぞと言うつもりはありませんが、
一部のアンティークの鞄には作り手の強い意志とあつい想いを
感じるものがあるのは確かです。
革の扱い方、錠前、フレーム等を含めた金具のバランス、
さらに道具である鞄としての全体の調和。
それらはデザイナーによってではなく美意識と技術を持った職人によって
できているのは鞄のあり方を見ればわかります。
写真はFugeeを魅了してやまないアンティークの口枠の鞄達です。
ユニークで個性的なものをつくろうとする昔の職人の息使いが聞こえてきそうです。


2017年11月18日土曜日

黒いコードバンの鞄

コードバンのセカンドバッグ、黒です。
もちろん作るものにもよりますがコードバンこそしっかりと革のふくらみを表現した仕立てが映える気がします。
透明感のあるこの革はある種のすごみさえ感じられます。
この質感がどう変化していくかたのしみな鞄です。



2017年11月16日木曜日

お休みのお知らせ

都合により、11月17日(金曜日)はお休みいたします。
ご迷惑をお掛けいたしますが、よろしくお願いいたします。


2017年11月11日土曜日

コードバンの革

仕立てる職人側からコードバンを見ると非常に癖の強い、つくりの方向性をかなり
規制される革です。
折り曲げに向く方向向かない方向、場所によるコードバン層の厚みの違いと
革そのものの厚みの違い。
しかし、裁断そして漉きのために革包丁を入れた時の感覚は特別なものがあります。
上質なタンニン鞣しならではの、刃先が革に吸い込まれる様な手応えです。
腰の強い美しいこの革で、クラッチバッグをつくりました。















2017年11月4日土曜日

魅惑の口枠もの

メンテナンスにお持ち頂いた口枠鞄です。
お作りした時点では何年か使用されているこの表情はもちろんありません。
新品のキリッとした鞄も素敵ですが、このように真鍮の金具の変化と共に味わいが
出てきた鞄の美しさ、存在感には釘付けになります。
作り手もこの質感は想定はしきれるものではありませんが、
その可能性を考えた仕立てはせめて施します。



2017年10月28日土曜日

長財布いろいろ

この秋に納品させていただいた長財布です。
基本形をベースにカードの枚数、マチのありなし、革、ステッチ等をご注文
いただいてからおつくりしています。
長財布はカードと、お札を折らずに入れるためのもの。
それらが優雅に納まるもの。
大きすぎても厚すぎてもいいとは思えませんし、せせこましいのも美しくありません。
制約が大きいなかで、いかにエレガントなものがつくれるかに毎回腐心しています。






2017年10月20日金曜日

お休みのお知らせ

都合により、10月21日(土曜日)はお休みいたします。
ご迷惑をお掛けいたしますが、よろしくお願いいたします。


2017年10月14日土曜日

Y様の旅行鞄

どちらの鞄も納品は8年ほど前。
旅行用の大きな鞄と身の回りのものを入れる小さめのショルダーバッグです。
どちらもそれほど使用頻度の高いものではありませんが、いい具合に年を重ねてきた感じがします。
そして少し手前味噌になりますが作った当時ならではのフルオーダー鞄に対する自分たちの心意気と緊張感が感じられる作品達です。今だったらどういうアプローチをするかな、
なぞと考えるのです。






2017年10月7日土曜日

MEN'S EX オンライン

最近リニューアルしたMEN'S EX ON LINE にて、職人の人物像に迫るインタビュー企画がはじまるということで、取材をしていただきました。
ご興味のあるかたはのぞいてみてください。
http://www.mens-ex.jp/column/craftsman/171004_32.html


2017年9月29日金曜日

箱型の名刺入れ

いろんな素材でつくる小物。
これは定番の名刺入れです。
それぞれの革にあった厚みと張りを毎回探りながら仕立てます。
それぞれの革ならではテクスチャーを堪能しながら、つくり手もかなりたのしみます。
できたてはパンパンの張りですが、おつかいいただくとしっくりいい感じになじんできます。名刺だけでなく、カード用にもと2個持ちされるかたもいらっしゃる、
Fugeeのベストセラーのひとつです
オーダーを頂いていた分を除くと数個ですが、
展示用のお売り出来るものを補充しました。
ご興味ありましたらお気軽にお立ち寄り下さい。



2017年9月24日日曜日

ないのでつくる

新しい真鍮の口枠鞄の企画をもぞもぞとすすめております。
市販の金具でサイズがピッタリで素敵なのものはほとんどないのが現状です。
口枠のてっぺんに着く開閉のための錠前部分を自作しました。
鞄の顔とも言える重要なパーツなので質感のいい美しいものを目指します。
シンプルで部品点数は少なく、当然ですが確実で長時間こわれずに繰り返しの動きが可能な金具でなければなりません。
ラッキーなことに試作が一回でなかなかのものができました。
こういう作業は楽しいのですが鞄と同じように、いやそれ以上に
じわじわとしか進みません。





2017年9月19日火曜日

お休みのお知らせ

都合により、9月20日(水曜日)から 23日(土曜日)までお休みいたします。
ご迷惑をおかけいたしますが、宜しくお願いいたします。



2017年9月15日金曜日

明るい色のKM39

四角い錠前と、どちらかというとダークな色でつくることが多いこの鞄ですが、
丸い錠前にキャメル色の革、黄色いステッチで縫い上げたKM39型。
じつのところ、こういう明るい色のソフトな革のコバ(断面)を磨く作業は
非常に時間がかかり、神経をつかう仕事です。
革の色と違和感なく調和する堅牢なコバを目指してじっくり丁寧に作業をすすめます。
とても軽やかな印象の鞄に出来上がりました。






2017年9月13日水曜日

お休みのお知らせ

都合により、9月13日(水曜日)、14日(木曜日)お休みいたします。
ご迷惑をお掛けいたしますが、よろしくお願いいたします。


2017年9月8日金曜日

びんぼう症

試作に使用した革はさらに小さい試作用にとっておきます。
硬い革、柔らかい革、試作用に用意してある革、本作と同じ革、厚み、質感等、
つくるものによって試作も色々な種類の革をつかいます。
写真は取り付けた金具をはずし革の回収をしようとしているところです。
試作はとてもだいじな作業でサイズ感はもちろん革の張り、
柔らかさ、構造的な強さ、諸々をその目的にあわせてつくります。
お客様の中にはきれいだから譲ってもらえないのかとおっしゃる方もいらっしゃいますが、試作はある目的のために作るものなのでそれ以外の所はなにもしないものなのです。
例えば、物によってはほとんどの部分が糊付けだけで形づくられていて
縫っていなかったりします。

でもこうした回収革の出番はあんがい少なく新しい革をカットすることの方が多いんですけど。



2017年9月1日金曜日

T様のFL46型

夏の暑い日に、素敵なストローハットをかぶられたT様が
この鞄を持っておこしになりました。
渋谷からこの場所に移って来たばかりの2012年の夏の初めに納品させていただいて
以来のご来店でした。この色のブライドルレザーでこのかたちの鞄をつくったのははじめてだったので、とても印象に残っておりました。
クリームの塗り方やエイジングのしかたはいかがなものかと心配なさってのご訪問でしたが、こちらではほとんど何も手を入れる必要がないほどお手入れが行き届いておりました。革の色より少し濃い色のシミを気にしておいででしたが、シミや擦り傷はできるのが
普通の状況です。お手入れは本当にすこしだけでお渡ししました。
お客様の色に染まりはじめたこの美しい鞄は再びお仕事の現場に戻りました。


2017年8月25日金曜日

夏のしごと

今年の夏もオーダー頂いておりました小物いろいろの制作がつづいています。
定番小物のご注文は毎年だいたい8月から9月にかけて制作させていただいております。
現在鞄のオーダーはかなりの時間をお待ちいただかなくてはならない状況ですが、
小物に関しましてはなるべく1年以内の納期をめざしております。

小物制作にどっぷりつかった夏も終盤に入り、そろそろ秋にむけての鞄づくりも気になりはじめたきょうこのごろです。
 



2017年8月15日火曜日

万年筆ケースを作る 2

万年筆ケース2本用と3本用です。
緻密に作る、もちろんそれは大切なことなのですが、もう一つだいじな事、
それは色っぽく作るということです。
どうすればそれが出てくるか。
緻密な作業とつながりますが、こうしようという意志を微妙に入れ込むことによって
<見た目は普通だがなんか違う物>になります。
この万年筆ケースでひとつ例を出しますと、蓋の差し込みを受ける横の帯、
なんとなくふくらみを感じられると思います。
ただし、これは場合にもよりますがあまりやりすぎるのはあざといものです。




2017年8月14日月曜日

お休みのお知らせ

庭のサルスベリ、今年はなかなか咲く様子を見せてくれないので
心配していましたが、やっとこさ咲き出しました。
こんなにきれいに。
お休みいたします。
8月14日(月)、16日(水)、18日(金)
ご迷惑をお掛けいたしますがよろしくお願い申し上げます。



2017年8月12日土曜日

万年筆ケースを作る

ブライドルレザーを使っての定番の万年筆ケースです。
入れ駒という手縫い独特の縫い方でまとめたものです。
手の中におさまることの多い小物は厚みの調整、裁断、磨き、まとめ、
それぞれ鞄とは違った意味の繊細さが要求されます。
形は大胆でも作業は緻密に、、。
美しい、自慢の万年筆ケースです。





2017年8月6日日曜日

単純で大切な作業

Fugeeの定番の鞄KM39の持ち手です。
上はコバ(切り口)を磨いたもの、下はこれから磨くところです。
革の端であるコバはダメージを受けやすいところ。
昔からこの部分をどう堅牢に美しくするかを職人は工夫してきました。
しかし時間をかけた丁寧な作業の繰り返しが美しいコバを得る
一番の方法であることは変わらないようです。
単純ですが丁寧でなければいけない作業の積み重ねののちに、
革が答えるように美しく変化してくれる瞬間が出てきます。
そして柔らかだったコバは色々な外力にも耐える堅牢なものになります。
私たちにとってはその革の持つ色々な性格を感じることもできる大事な時間です。

お客様の手の中でこの持ち手はどう経年変化していくのか、、楽しみです。





2017年7月29日土曜日

山羊革のKM39型

前回のブログの「試作」を経てできた鞄です。定番のかたちではありますが、素材が変わるとまたぜんぜん違った雰囲気のものとなります。
山羊革はそう大きくないものが一般的なので、胴体からカブセまでぐるっと一枚のパーツで仕立てるこの鞄がとれるほどのサイズの、しかもシボの雰囲気もいい革にはなかなか出会えません。
青みがかった茶系の灰色のシボ革に、えんじ色のステッチがさりげなく映える、
重厚な面持ちの鞄となりました。


2017年7月22日土曜日

お休みのお知らせ

都合により7月23日(日曜日)、24日(月曜日)お休みいたします。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。





2017年7月16日日曜日

「?」を消すための作業

Fugeeの鞄づくりではあらゆる場面で「試作」をします。
それは、本作に入るためのテストで、こういう鞄をつくろうという指針を
いろんな角度からチェックし、はっきりさせていくためのものです
本番の革を使うことはできませんが、目的の鞄を作りあげてみるのは、
あらゆる面からその鞄を検討出来る「試作」の例です。
でもその他にも多くの試作をしてみます。
写真のようなパーツの制作もその大切なひとつです。
KM39型のブリーフケースをタンニン鞣しの山羊革でというご注文。
つくり慣れたかたちではありますが、この鞣しのこの革での制作ははじめてのこと。
厚手でシボの美しいこの革をどの厚みでどんな張りで仕立てるのが
ベストなのかを探ります。
鞄になったときのコバの厚みと強度は?
コバからどのくらいのところをどのピッチで縫い絞ると美しいか?
・・・・などなど
私たちが思う素敵な鞄をつくるためには、これらの「?」を消すための、
地味な作業がとてもたいせつなのです。







2017年7月8日土曜日

アンティークの金具

そういう先入観で見ているからでしょうか、アンティークの
金具をバラしてサンドペーパーで磨いただけなのですが「美しい」のです。
もう少し研磨して新しい鞄に取り付けます。
キャストあり、プレスあり、ロウ付けあり。
ある状況を表現しようと工夫を凝らした名も無い職人達が作った形です。
現在だったら「少し形を変えてロウ付けを減らしてプレスで効率よく、、」
なぞと考えるのかも知れません。
昔はそれ以外やりようが無かったのかもしれませんが、
手間を惜しまず作り表現したものは愛おしく美しいのです。



2017年7月1日土曜日

革の魅力

鞄の角は、ぶつけたり、擦れたりしやすい個所です。
上の写真はメンテナンスの後、真ん中はメンテナンス前の鞄の角です。
使われた鞄に新しい時にはなかった表情と質感がでてくるのが
革のいいところだと考えています。
日々の生活でお使いいただいているあいだには、
鞄の角以外の部分もいろんな状況に出くわすはずです。
思いがけず出来てしまった深い傷やこすり傷にびっくりして
落ち込まれるかたも多いとおもいます。
でも長い目で見ると、革にはそういったマイナスの要因さえも許容してしまう
懐の深さがあります。
いちばん下の写真はメンテナンスがおわったあとの鞄の顔です。