見慣れない形の2つの物体。
実はこれらは、トローリーバッグに鞄を装着するための部品です。
鞄本体が出来上がった状況ではまだ折り返し地点に立ったに過ぎなかったのが
このオーダーでした。
部品点数は最小に、部品自体の重量も軽く、装着もなるべく簡単に、そして鞄本体にはショルダー紐以外のものは何もつけない、これらの条件を満たすものを探りました。
鞄以外のものですし、私どもも全く初めての挑戦でしたので、アイディア出しから何度かの試作を経て最終的な着地点が決まるまではかなりの時間がかかりましたが、シンプルでおもしろいものができました。
興味に溢れた楽しい、そして自由な発想による過程こそがものつくりの本質ではないだろうかと感じております。
2枚目以降の写真は制作過程の紆余曲折です。
鞄を作る時に考えることはたくさんあります。
革、仕立ての方向性、その二つの相性、更に鞄のサイズ等によって
全く異なる鞄になります。
耐久性も担保しながら広い面積で革の美しさを見せるのが鞄と言えます。
その観点から言うと手に持って美しい鞄をつくるとき、
普通は肩掛けの紐はないほうが良いと思います。
今回の鞄はお客様のご希望の肩紐に面白い役目を考えることにしました。
鞄の雰囲気に合わせたシンプルに見える今回の肩紐は手の込んだものです。
パソコンの不具合が続き、ブログ更新がなかなかできませんでした。
というのもありますが、コロナウイルスの世界感染拡大のことでどうもふわふわと気持ちが落ち着かない日々が続いており、ハッと気がつけば仕事の手がとまっていたりします。
仲間の話を聞くと多かれ少なかれ似たような思いをしているようです。
それでも、海外の友人たちとお互いに心配の連絡を取り合ったり、庭の梅の木が7年ぶりにたくさん実をつけてくれたことに心が踊ったり、ちょっと開き直って読みたかった本を読む時間を取ろうとしたり、スーパームーンを見て喜んだりしながらうまくバランスを取ろうとしています。
4月6日発売の雑誌、メンズプレシャス春号「世界のクラフツマンシップと心優しき名品たち」という特集の中に掲載していただきました。
良い季節なのに家にいなくてはいけない日々が続きそうです。
ご興味のある方はぜひお手にとってみてください。