2022年12月29日木曜日

今年最後のお教室

教室の皆さんそれぞれ協力し合って自分達の足を測定 。
それらの値をメソッドに従って図面化しました。
お互いに図面を観察し合いあまりの形の違いにびっくり。
大きさの違いはなんとなくわかりますが足の形にも相当個性が
あることがわかりました。
さて、図面を型紙に起こして試作を作り並べてみました。
これから形、大きさ等で気に入らない所を修正します。
これが結構大変かも知れません。というのも何処をどう修正したら
どんなところがどう変化するのかを捉えるのは難しいところがあると思うからです。
そこまでやってもらいたいのは再現性の為です。
例えば誰かの足に合わせたスリッパの図面が自分で描けて作れる事が大事です
比較的に単純だと思うのですが、私達も試行錯誤のわからない事だらけのスリッパ作り。
というわけで手縫のバブーシュの本作、間近?






2022年12月18日日曜日

革のスリッパ

大きく弧を描く甲革を大胆にヒダを寄せながら底革に縫い込む。分厚い甲革と分厚い底革が縫い合わさったものは当然ながらかなりゴツくて、長年鞄をつくっていてもコレをひっくり返すことは本当に可能なのだろうかと心配になるほどのものです。考え方、スケール感、立体感に対する姿勢などなど、鞄との違いを感じながらもとても新鮮な作業に燃え(萌え?)ました。何個かかたちにするなかで、まだまだわからないことがたくさんある中、パターンを起こすための考え方がなんとなくですが定まってきたので、鞄教室でも生徒さんの教材としておもしろそうだと思い、チャレンジすることにしました。もちろんみなさん足型を描いてオリジナルの型紙を起こしてもらうことにしたのです。








2022年12月7日水曜日

モロッコのスリッパ

 愛用していたモロッコの古いスリッパです。
(分解する前の写真は撮り忘れました。)
仕入れなどでパリに行った際に立ち寄るマーケットやアフリカ系のお店ではふつうに買えるものでしたが、20年くらい前を境に一気に姿を消してしまいました。今は薄い革にスポンジを入れたフカフカのものにとって代わり、日本にも多く出回るようになっています。
昔のものが何が違うかというといちばんは、底革と甲革が手縫いされているので丈夫で長持ちすることです。そして全体的な革の厚みが厚いため、経年変化が美しいのも魅力でした。
もう手に入らないことがわかってから、長いことずっとつくりたいと密かにおもっていましたがやっと今年少しづつつくり始めることができました。

バラしてみると、底革は外から見たときからは考えられない程の厚み(3.5ミリ!!)で、甲革も表と裏を合わせるとかなりのボリュームがありびっくりしました。われわれは鞄屋なので靴のことは門外漢なのですが、底革と甲革はシニュー(羊の腱)のようなしっかりした太い糸ですくい縫いがされていました。
漉き(革の縁などを薄く整える行為)は底革の周りしかされておらず、荒いつくりといってしまえばそうなのですが、職人の長い経験と技術に裏打ちされた古き良き時代の量産品なのだと感じました。量産品と言っても、手で仕立てているからつくれる量も限られているのは当然です。その国の職人によって、その国で同じ暮らしをする人たちのためにつくられたものであったはずです。その国の風土と長い歴史が培ってきた考え方や美意識が醸し出す強い存在感や安定感のようなもの。そういうものは真似しようにも真似できない尊いオーラを持っています。
遠い国にいる不特定多数の顔の見えないお客のために、やれつくれほれつくれと大量にできあがってくる現代の民芸品モドキとはまったく一線を画したものです。

分解しながらそんなことをひしひしと感じ、古きモロッコのスリッパ職人に敬意を表しつつ、じっくりつくりをみせていただきました。
普段、モノを入れる為の鞄をつくっている我々ですが、木型のないスリッパといえども人体の一部である「足」を入れる為のものははじめてで、ドキドキワクワクがとまりませんでした。