2020年6月30日火曜日

棒屋根金具のハンドバッグ(3)

持ち手の作成工程です。
握るあたりの断面が円になるようにしてみました。
初めて見る方は手はこうやって作るんだと思うかもしれません。
こういう持ち手を幾つも作られている方はなんだこりゃと思うかもしれません。
私どもは持ち手に限らず鞄の作り方というのを決めてはいません。
例えばハンドバッグではなくずっと大きな鞄の持ち手でしたら
外見は同じでも中身の作り方は全く違ったと思います。
どんな場面でも毎回その時のベストをFugeeなりに探りたいからです。
そういう鞄作りは何十年続けても面白いのです。
初めて革をいじって何かを作った時と同じドキドキをずっと感じながら作る事が
私たちにとって大切な事なのです。
決まった物を決まったようにたくさん作り出すプロより新しい方法を綱渡りしながら
試すアマチュア?を目指します。





2020年6月25日木曜日

棒屋根金具のハンドバッグ(2)

革はボックスカーフの黒。
実は靴屋さんが使うボックスカーフと鞄屋が使うそれとは少し違う所があります。
厚さや表面処理の仕方が異なる場合が多いようです。
この革の持っている本質的な質感、癖、を常に的確につかむのは難しいものです。
大きな特徴の一つは腰の強さでしょうか。
今回も革の厚みをテストを繰り返し慎重に調整し決めていきます。
それらがピタッと決まれば本当に美しい鞄ができる素材で、
しかも耐久性にも優れているんです。
長いこと使っておりますが、初めて使った時から惚れっぱなしの革です。







2020年6月15日月曜日

棒屋根金具のハンドバッグ(1)

ファスナーが開発される以前、金属の口枠を使い開閉させるタイプの鞄がポピュラーだった時代がありました。
繰り返しの開閉に対して正確で耐久性がありかつ美しいものが作られました。
これは「棒屋根」と呼ばれる口枠です。アンティーク品ではありませんが、
ドイツの金具メーカーのもので30年くらい前に手に入れたものです。
残念ながら今は作っていないようです。
これを手に入れた時の嬉しさはよく覚えています。
今回は枠の構造については述べませんが、鞄屋的に言うと、
この枠の下にぶら下がる鞄の本体部分はかなりの自由度があります。
これは小さめの長さ30cmのものなのでハンドバッグによく使いました。
鞄作りの面白さは可能性追求の面白さでもあります。
夢を広げてくれた金具もこのサイズは最後の一つになりました。






         





2020年6月5日金曜日

タタミ

何ともう30年近く経ちました。
まだFugeeが国立にあった、カラーの麻糸なぞどこでどう調達するのだろうという時代。

今も友達としてお付き合いさせてもらっている立川の同業者から「こんなのが手に入ったから一つあげる」と言われて使い始めたのが木綿の風合いの畳屋さんが使っているこの糸です。無限に使える量があると思われた太い巻き。
質感が気に入りFugee定番BK41型などの太めのステッチが映える鞄に今でも愛用し続けています。
どんなものも使えば減るもので、ハタと気がつけば後わずか、急に不安になりあちこち
探し近くの畳屋さんから分けていただける事となりホッとしております。
いただいた時と全く変わっていない新しい巻の糸、きっと30年は持ちます。
30年、、、、。