2014年4月28日月曜日

カスタマーモデル紹介No.6 G.S様の旅行用鞄

私達が作る鞄にそんなに大きな斬新さはありません。
形は必然に添うように作ります。お客様のご要望にそう必然。
革が素材であるゆえの制作方向の必然。
奇をてらったデザインなぞ考えなくとも作り方一つで風合い、耐久性その他
あっという間に変わります。どこをどうねらうか、どう決めていくか。
それこそあっという間に間の抜けたものになる可能性も充分秘めています。
G.S様にご注文いただいたこの鞄も試作テストを繰り返して
やっとこの質感に至りました。
どうってことない、でもなんかいいな、というものが出来たら成功です。



2014年4月26日土曜日

お休みのお知らせ

明日4月27日(日曜日)は都合によりお休みさせて頂きます。
28日よりのお出でお待ち申し上げております。




2014年4月22日火曜日

カスタマーモデル紹介 No.5 M.K様のハンドバッグ

M.K様に作らせて頂いたボックスカーフを使用したハンドバッグです。
女性ものには珍しい棒屋根の金具を使用し特徴的な持ち手の
重厚なハンドバッグができあがりました。
折々のお出かけにご使用中とのことです。
制作から13年ほど経っていますが改めてボックスカーフの美しさを
感じさせられます。
まだお若い方ですがご自分のお孫さんまで受け継げたらとおっしゃて
おられます。そうできたらつくり手も本望ですねー。






2014年4月17日木曜日

カスタマーモデル紹介 No.4 Y. T様のカカエ鞄

「フラップの付いた書類鞄をソフトな革で作る」というコンセプトで始めたKM39型。
普段はカーフのシュリンクを使用して作ることが多い鞄です。
外も内も同じ素材を一周させるなかなか贅沢な革の使い方をしており、
素敵な質感のものができます。
Y.T様のこの鞄は外革はスエード、内革はカーフのシュリンクという
初めての組み合わせで作った物です。
一目惚れして買って頂き6年ご使用頂いております。
スエードは革の裏を見せるものなので厚みの調整がややこしい素材ですが
全体、部分、共に質感がうまく出せたと思っています。



2014年4月16日水曜日

カスタマーモデル紹介 No.3 S.O様の口枠鞄

つくり手というのは勝手なもので、新しい鞄を考えつくり出す事は面白いと思えるのですが、同じ鞄を同じように作るというのはあまり楽しいとは思えないところがあります。
と言うわけで定番の鞄も少しづつより良くなるよう変化させています。
FM42型も本体の厚み、形の修正、革の漉き具合、ステッチ等、
初期と比べて色々と変わってきました。しかし、私共ができるのはそこまでです。
本当に大きな変化をさせてくれるのはお客様で、鞄の最終的な完成は
お客様の手に渡ってから成されるといえるかも知れません。
S.O. 様に4年程前に作らせて頂いたこのFM42型。
手入れが非常に行き届いており、使用感のある、その方になじんだ様は
作った私共がはっとさせられる美しさです。
この美しさを長時間保てる様、お客様の日常の想いに応えられる様
仕立てをするのは難しいことですが、少しでもそれに近づくように作るのが
私達の責務だと考えています。

2014年4月12日土曜日

お休みのお知らせ

4月13日(日)は都合によりお休みさせて頂きます。
月曜よりのお出でお待ち申し上げております。

2014年4月10日木曜日

カスタマーモデル紹介 No.2 Y.I 様のダレスバッグ

とても味のある表情になってきたY.I 様のダレスバッグです。
一般的なダレスバッグは横襠から底襠につながっていますが、
底襠の良い部分と不利な部分をご説明させて頂いた時、長期間使用したいということで
底襠をやめ、胴を底まで繋げる案になりました。
アーチになったフレームと共に印象深い形ができました。
丁寧にご使用頂いているために12年程経ちましたがメンテナンスでも
特別気になる点はありません。
まだまだしばらく美しい状態でご使用頂けると思います。




2014年4月6日日曜日

カスタマーモデル紹介No.1 K.I 様のトランク

Real Bespoke展に展示させて頂いたものをゾーン別に、一つ一つについて詳細見どころ、裏話を紹介させて頂きます。まずは、現在ご使用になっている鞄達です。過去にオーダー頂き制作させて頂いた7点をお客様の生の声と共に展示させて頂いた「カスタマーモデル」ゾーンの鞄からです。

最初はK.I 様の小型のトランクを紹介させて頂きます。
表の革はイタリアの手揉みのタンニン鞣し、金具はデッドストックの英国チェニー社のもので、鞄制作は16年程前です。
検討を重ね図面を描いて木枠を発注。出来た枠をお見せしたところ大きさのイメージが少し違うとのこと、再度作りお見せしてOKとなりました。その枠で制作したのがこの小型トランクです。本当に美しいプロポーションのトランクになりました。この鞄には聖書を入れられて持たれるとお聞きしたので、優しいイメージのものを作ろうと思い、ご希望のコーナーのパッチは薄めに小振りに、そして一般的にほとんどの木枠のケースに付いている金属の蝶番をやめ、革で蓋の開け閉ての動きを吸収する構造にしました。もう一つの特徴は、後ろをシンプルにするため蓋の口元から後ろ(底)を一周して胴の口元まで一枚の革で仕立ててあることです。全体に華美でなく素朴でしっかりしたものができました。多くのご来場者様から「美しい」との声を頂きましたのはK.I 様の、持つものに対するこだわりが引き出してくれたのだと感服いたしております。











2014年4月4日金曜日

羊屋さんとHiro Yanagimachiさんのしごと

2年とすこし前、誂えのスーツ屋、靴屋、鞄屋が集まったら、何か面白いことが出来そうじゃないかと、お二方にお声をかけたことからスタートした、Real Bespoke企画。
もちろんそれ以前にも交流はあったとはいえ、異業種同士の3工房。まずはじめたのが、
それぞれの工房に足を運び、お互いにお互いの仕事を詳しくプレゼンテーションし合うことでした。お互いの工房では、うわーそんなことまでやるのかーと関心しあうことしきりでした。分かったのは、どの工房も非常にオリジナリティのある仕事をしているということ。いいしごとを追求していくと、必然的に独自のメソッドにたどり着き、またそれは
良い方向に変化し続けるということでした。そして、クオリティー追求の為のものづくりは、効率や採算といったものから発するものづくりとは真逆ものなのだということを強く実感しました。
当初はオーダー会を兼ねたものにしようなどという案もありましたが、いっそのことそういうのは抜きで、ものづくりとは何かということや職人の心意気が伝わるようなものにしたいという考えに至ったのは、お互いにお互いの仕事に感動し合えた体験があったからです。
私共鞄屋と、他2工房の大きな違いにも気付かされました。鞄は、それを使う人から離れた存在ですが、スーツも靴も使う人の体に密着したものだということです。オーダー(ビスポーク)であれば、切実にお客様それぞれの体にフィットしなければならない。骨張ったり、肉張ったり、いろんな質感を持ち、実は左右対称でもない人体にエレガントにフィットするものをつくりださなければならない難しさ。彼らの技術の多くはそのためのものであるといってもいいでしょう。(それに比べ鞄は、「入れるもの」が「人体」でないだけ、自由度があり、アクセサリー的な要素も多く含み、つくるものの範囲も無限大です。)
そしてお二方とも口を揃えて、自分たちのつくるものは、お客様のキャラクターよりも目立つようなもであってはならず、それを身につけた方がより自分らしさを感じ、さりげなくその方を素敵に演出するものでなくてはならないとおっしゃいます。
おお、なんてかっこいい!
そんなお二方のしごとを、心から尊敬しております。