カメラケースをモチーフにしたショルダーバッグを「PRBX型」として
Fugee Standard Line に加えることになりました。
この鞄をつくるにあたってのテーマは「紳士の休日」です。
文庫本や小さな双眼鏡などの必要最低限の荷物を持って、ツイードのジャケットに
ハンチングを被り、森へ散策へ行く光景をイメージしました。
もちろん街歩きにも。肩肘張らずに、気軽に軽快に持って歩けるサイズを
意識したつもりです。ゴツく平面的な印象になりがちな箱物を、軽快で軽やかな雰囲気を
出すために、細部の仕立てやサイズ感に気を使いました。
型の名前の「PR」は「プロムナード」。フランス語で「お散歩」のこと。
この「PR」シリーズは箱物に限らずいろいろな展開の可能性を考えています。
Fugeeの定番はビジネスユースの鞄のオーダーが比較的多いという状況から生まれた結果、書類を意識した物がほとんどでした。
これからの定番はさらに広げていろいろな形、素材、機構の提案をもう少し押し進めようと思っています。
久しぶりに入れ駒縫いで作るこのショルダーバッグ。
緑色のタンニン鞣しで作った第一号は3年程前に万年筆の専門店フルハルターのご主人、
森山さんがお買い上げくださいました。たいそう気に入って頂き、
磨き上げた鞄をご自身のブログに載せて頂いたりしております。
仕事はまったく違う分野ですが、職人としての一徹さを感じる森山さんに自分の鞄を
使って頂くのは緊張します、と同時に喜びでもあります。
今回はブライドルレザーで。オーダー頂いていた焦茶を含め、
ベージュ、赤茶で製作しました。
都合により2月15日(金)はアトリエを留守にいたします。
16日よりのお出でお待ち致しております。
厚みのちがう平面どうしを貼り合わせると、硬いともやわらかいともいえない質感の
立体が組み上がる。組み立ての時の高揚感は毎回新鮮でたまらない。
そして縫い。一目一目、キリの角度と糸の引き具合が勝負の箱物の縫いは、
腕の中で丹精を込めて仕上げることができる手縫いの醍醐味を最も感じさせてくれる
手法だとおもう。
形がカメラケースのようなショルダーバッグを製作中。
でも古いカメラケースからヒントを得たのは後ろ両サイドの美しい曲線。
それにしても厚い、写真2枚目の駒にいたってはコバが7ミリ以上。
かなり強めに締め込んでいく、糸が革に食い込む、ネンをこちらもかなり強く
体重を掛けるようにして引く、革の美しい表情が現れて来る。
部品ができたらいよいよ組み立て。
お客様が以前お買い上げ下さった鞄を持ってお立ち寄りになった。
お気に入りの仲間入りをさせて頂いたこの鞄。
テーブルに置かれた鞄をはさんで革の話、鞄の話。
目を細めてお話しになる様子に嬉しくなりついこちらも
仕立ての細部まで説明をしたりして。
こういう時間があるから職人はやめられない。