2022年6月30日木曜日

フルートのための鞄

最近何を見ても懐かしいのですが、これは又特別です。
今から30年以上前の国立市に店を出していた時代のオーダー鞄です。
フルートのケースが入る横に長い口枠の鞄です。
革は当時初めて仕入れたボックスカーフです。
ご存知の方はアッと言われるかもしれないカールフロイデンベルグのものでした。
世の中にこんな高い革があるんだ!と思いながら必死で仕入れたのを覚えております。




 

2022年6月24日金曜日

スウェードのKM39

 前回の投稿のスウェードの鞄の完成品 KM39型 です。
ステッチのベージュ色とインナーに選んだカーフのキャメル色の助けもあり、柔らかで繊細な印象の鞄となりました。







2022年6月17日金曜日

試行錯誤の残骸

 Fugeeの革棚のまわりは、鞄には使えないけれどなにかまだなにか実験に使えそうな革の端っこだったり、試作の鞄や、部分テストしたあとの残骸でいつもごちゃごちゃしています。
そんな場所を掃除していたら、3月に制作していたスウェードの鞄のテストピースのかたまりがボロッと出てきて、そのときの感じがよみがえってきました。
厚みも柔らかさも質感も毎回みごとに違うスウェードを今回はどんなアプローチで仕立てようか。いままで使ったなかでいちばん色の薄いスウェードの革の断ち目をどうやってきれいに磨くことができるのか。つくり慣れた定番の鞄なのですが、コバ磨きの作業がとても難易度の高い事もあり、最後まで緊張が続いたことを思い出します。
手垢をつけずにサラッとキレイに仕上げるために、小さな作業ひとつひとつを急がずに気を配り次に進む、刃物は常に切れるように研いでおく、そんないちばん当たり前なことがやっぱりほんとうに「肝」なのだということを思い知らされるいい仕事でした。





2022年6月8日水曜日

使われて見せてくれる顔

「素材ありき」、革を扱う物作りではわかりすぎるくらいわかっていることです。
フランスで仕入れた美しいゴートレザーで長財布と名刺入れを4年ほど前に作らせて頂きました。里帰りした、更に美しくお客様の色に染まった小物たちです。




 

2022年5月31日火曜日

収穫

気がつけばもう6月になります。
片隅のちいさなスペースにさえ季節は巡ってきてくれます。
去年はまったく実をつけなかった梅が、今年は立派な実をたくさんつけてくれました。
世の中に何が起きていても変わらず少しづつ変化する小さな自然を見てほっとしています。

             





2022年5月24日火曜日

仕事道具としての鞄

「心地よい生活の一部として道具である鞄をどれだけ取り入れられるか」
お使いになる方はお考えになると思います。
作り手からするとその方の為にどこまで心地よい鞄を作りきれるか。
写真の鞄をお使いのO様は毎日この鞄にいっぱいの書類を入れて使っておられます。
ブライドルの4mm厚を合理的に使用した鞄は8年過ぎても形崩れがほとんどありません。
持ち手は軽く感じられるよう工夫をしておりますが書類も入れた総重量はかなりのものです。
自分たちがつくった鞄が愛されて使われているのを見るのは本当に幸せな事です。
ありがとうございます。





 

2022年5月16日月曜日

黒のKM39

定番中の定番。黒いシュリンクカーフのKM39。
何度つくっても、いいなとおもいます。
シュリンクカーフのふっくら柔らかな質感を残しつつ、持ち手で持つ鞄としての堅牢さを備え持つものになるよう、いろんな努力をしております。



2022年5月10日火曜日

ボックスカーフのダレスバッグ

鞄の構造と革の性格をどうマッチさせて仕立てるか。
ボックスカーフは非常に繊細な美しい革ではありますがそれだけではありません。
タンナーの考え方の違いによるのでしょうがひたすらしなやかでその質感を傷つけてはいけないと思わせるものもあれば、キリッと背筋の伸びたそれ自体で自立するような雄々しい美しさのものもあります。
今回は後者のボックスカーフでのダレスです。
研究を重ねる自慢の持ち手と金具はアトリエ自作のスターリングシルバーです。




2022年4月30日土曜日

10ねん目

渋谷からここ要町に引っ越しをしてまる10年の時が過ぎました。 
10年前の今頃、引っ越し後の荷物と格闘しながら5月のアトリエオープンに向けての準備に大わらわだったのを思い出します。広いアトリエのなかで定位置が定まらずに居心地がわるそうだった道具や素材、そして我々二人もすっかりこの場に馴染んでいることにはっとします。
最近では渋谷時代のFugeeをご存じないお客様も増えましたが、ここ最近30年以上前の国立時代(18年の渋谷時代の前は国立に10年おりました)の懐かしいお客さまがメンテナンスやご注文でお出でいただいたりして嬉しいかぎりです。
「すこしづづ進化、前進しつつ、いい意味で変わらない」を目指すFugeeをこれからもよろしくお願いいたします。





2022年4月25日月曜日

ボルドーカラーのカートリッジバッグ

隠れた定番のひとつ、Fugeeスタイルのカートリッジバッグを本来なら冠(かぶせ)に付いたベロと美錠(バックル)で開閉するのがオーソドックスなスタイルですが、美錠ではなく錠前でというリクエストでお作りしました。錠前が付くとエレガントな雰囲気になります。お選びいただきました革もブライドルレザーよりも繊細な表情をもつ、デッドストックのベルギーのタンナーの厚手のタンニン鞣し。前回の投稿のショルダーベルトの根本部分もこの鞄の雰囲気にぴったりはまったと思っています。





 

2022年4月17日日曜日

たかがショルダーベルトされど。。

できれば美しく耐久性のある鞄を作りたいといつも考えております。
許して頂けるお客様にはショルダーバッグのベルトをはめ殺しの長さにさせて頂き
長さ調整の為のバックル等を付けない仕様でお作りすることがあります。
そんなある時のベルトの先端の表と裏の形状です。
曲げる力がベルトに掛かったとき革が3重になった先端の硬い部分までなるべくなだらかに曲がるように工夫した結果、ある意味必然として出てきた形状です。







2022年4月9日土曜日

懐かしい革としごと

なつかしの鞄達が里帰りです。
古き良き時代の革を久しぶりに観察しました。
これらの革の鞣し屋さんはもうすでにありません。
手前の2点(30年ほど前のしごと)はイタリアのタンナーのクロム鞣のしなやかなカーフです。右奥(20数年前のしごと)は若い頃かわいがって頂いた革問屋の社長さんが引退なさる時譲って頂いた厚手でシボが美しいドイツのゴートを使用したものです。
こちらもクロム鞣ならではの腰のある弾力のものであまり見ない種類のものです。
そのころボックスカーフも含めてやっと少しづつ高級な革を入手できるようになってきた時でした。
当時の仕立てに対する悩みや物作りの方向性への強い想いを感じさせてくれ、今の私達にそれをきちっと進めているかを問うている鞄達です。
鞄をお見せ頂いたY様に感謝申し上げます。


 

2022年3月31日木曜日

たまたまですが

コロナ禍でなかなかお出でいただけなかったお客様の完成鞄が増えて参りました。
私達としても直接お話をさせて頂きながらお渡ししたい希望があり御出でになれる日を楽しみにお待ちしていたりします。
少しづつ増えて行くのであまり気がつかないのですが、先日久しぶりにお出で頂いたお客様が「鞄がこんなにあるのは初めてです。」とおっしゃっておられました。
そう思って見ると結構隙間なく並んでおります。
まだまだ先行き不透明かもしれませんがどうぞお立ち寄り下さいませ。
お待ちもうしあげております。


 

2022年3月24日木曜日

春色の鞄

 寒暖の差が激しいですが、やっと春らしくなってきました。
そんな季節に暖かみのある明るい色の鞄をつくっています。
ちょっとうきうきしています。




2022年3月16日水曜日

ダークグリーンのPM40

 このなんともいえない深く渋い色合いの濃い緑色のスウェードの革は、イギリスで買ってきたものです。少し柔らかめの革を使う胴部分に対し、強度と張りを担保したい持ち手とハカマ部分は通常はブライドルレザーを使用する定番のPM40ですが、このスウェードの色と質感を引き立たせるためにあえてボックスカーフの黒をつかいました。エレガントでシックな鞄になり、満足しています。こういうちいさな遊びにチャレンジできるのは展示用サンプル鞄をつくるときのささやかなたのしみでもあります。
こちらにご紹介する前に売約済みとなってしまいましたが、来年の二月まではショウルームにございますので、現物をご覧になりたい方はお気軽に覗きにいらして下さいませ。







2022年3月8日火曜日

型入れ

ボックスカーフのダレスバッグを型入れしています。
毎回型入れは難しい作業でこれでこれからの制作工程の性格というか癖のようなものがきまります。革は元々動物ですから部位によって性格が全くちがいます、それを鞣し仕上げる工程で引っぱり伸ばして平面にし、均一な雰囲気に表面処理等をほどこしたものです。どの部位をどう使うか、部分が必要とする強さは保てるか、柔軟性は保てるか、部分によっては弱さが必要な所もあるのです。
型入れが済むとどっと疲れてお茶を頂きます。
包丁を入れた革の感じを話し合い、厚みの調整具合をどこにもっていくか、出来上がりの全体のイメージはこうなるだろう等を互いに了解し合います。





 

2022年2月23日水曜日

メンテナンス後の顔

前回の投稿でお見せしたブライドルレザーとボックスカーフのダレスバッグのメンテナンス後の写真です。
前回の投稿と比べてみてください。
革それぞれの素敵さ良さはどこにあるのか、色々な見方はあるとは思いますが、私はお使いになる方と革鞄が共に年を取っていく、という事が一つあると思っています。
出来上がったばかりの鞄は、作り手の考え感じた美しい質感のものとしてあります。
年月を経ながら、繰り返しの曲げ伸ばしをされ、色々な物にもぶつかり、傷つき繊維がほぐれ、質感を変えつつお使いになっている方の色に染まって行きます。そして、制作者の手をすっかり離れた存在になりそれぞれの鞄はそれぞれの時の流れを経て存在している物になるのです。
使う方の色に染まった鞄、それは実は革が年月を経て朽ち果てて行く過程にあるといえるのです。
革は、メンテナンスをしながらという条件は付きますが、朽ち果てて行く過程が美しいものなのです。
そしてそれがうまく出る様な仕立ての方向を探るのが鞄屋の仕事です。










 

2022年2月11日金曜日

里帰り

こういう偶然もあるんですね。
数日の差で黒のダレスが二つ里帰りです。
先に帰って来たのはブライドルレザーでお作りした2010年作成のもの。
そして数日後に2000年に作らせていただいたボックスカーフのダレスがメンテナンスで戻って来ました。
さっそく全体から細部まで、特に知りたい所は色々考えながらしばらく入念に見せていただきます。
この革にこの仕立てはあっているのか、耐久性、経年変化、この革の良さを損なわないよう仕立てることはできたか、等々。
当時の自分達の考え方を改めて突きつけられます。
大きな流れは変わってはいないので外見に今のものと大きな違いはありませんが
愕然としたり、ほっとしたり、たまにはニヤッとしたり。
メンテナンス前の少しやれた個所を写真に撮りました。
次回はメンテナンス後のダレスの様子を載せようと思っております。
でも「よく帰って来たね、よしよし。」












2022年1月31日月曜日

口枠書類鞄 FL46型

Fugee定番 FL46型です。
ブライドルレザーをエッジ部のない全体に丸く外に膨らむ仕立てをした鞄です。
使われるお客様の色に染まる、年を経た20年後の状態を思い浮かべながらお作りしています。
ブライドルでこの形、には理由があります。
一つはブライドルの4mmというハードでしなやかな素材の力強さ。
もう一つは構造的な安定感です。
卵と同じようにエッジの無い丸い形は外的な力に強いのです。
ですからこの鞄は特別な事故等が無い限りほとんど形崩れしません。
表面のメンテナンスをすることで美しい経年変化を味わいつつ長い間使用出来る鞄です。革は使われる方と共に年を取る事が出来る数少ない自然の素材の一つと言えましょう。もちろん素材をどう扱ってどう仕立てるかによります。
革の持つ緊張感をどうぞ味わって下さい。


 

2022年1月23日日曜日

持ち手のはなし

 FugeeのFL46型の持ち手です。
手前味噌ですがこれほど意志を持って革と相談しながら作る持ち手はあまり見ません。
持つ方に合わせた微妙な太さの違い、重いものを長時間持って疲れない握りの形状、
決して壊れないしっかりしたつくり、苦労のあとを見せないさりげないどうってことなく見える仕上がり。
鞄をつくり始めたばかりの頃、量産の限界はあるもののアンティークの鞄にそういう意思のある持ち手を見て気持ちの高揚をおさえられませんでした。
説明は微妙なのであまり書けませんが一つ言いますと横から見た下端のラインが両端のループの手前でえぐれず先端まですなおにつながる持ち手です。
持ち手を研究されている職人の方には一目でお分かりになると思います。












2022年1月17日月曜日

美の壷 再放送だそうです

鞄を作るたびに新しいことを取り入れたい、おもしろいことを試したい。
最初の構想の段階では特にそう言う想いが頭の中を渦巻いて行ったり来たりします。
しかし実際の制作にかかった時の状況は私達がいいと思うそれなりの形にするのに精一杯な作業を日々進めて行くと言うのがほとんどです。
なんとか私達の鞄に仕立てていく時、作業の必然性や気がつかなかった新しい発見にもたくさん出会います。
工夫をしなければ全く進まない部分にもしょっちゅうぶつかったりで、
「おもしろいことを試す!」なぞと気楽に言うかっこいい状況とはほど遠い作業の連続です。
必死でもがいて一つ鞄が出来て行くというのが実際に近いでしょうか。

何年も前のNHK「美の壷」がまたまた再放送と連絡をいただきました。
かっこいいんでしょうか、わるいんでしょうか。

NHK Eテレ 1/23日(日) 23:00~23:29  1/27日(木) 11:00~11:29


 

2022年1月7日金曜日

本年も宜しくお願い申し上げます。

 数日前からもぞもぞと仕事ははじめておりましたが、本日お正月飾りをしまい、いよいよ本格的に始動という気持ちになっております。
2022年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。