2013年4月26日金曜日

革の仕切り板

      平らな床に板を立てて、そこに平らな屋根を置くと、
      部屋のような特別な空間ができる。
      こどもの頃の積み木遊びの延長みたいなことが出来るのが、
      手縫いのいいところ。
      今回の「特別な空間」は「万年筆のための部屋」。



2013年4月23日火曜日

モッコウ薔薇の季節

生け垣の木香薔薇。
白い花瓶にそっと生けられ、鞄を展示してある接客室の棚に置いてある。
こういう花は気持ちが安らぐ。
お客様もお茶を一口召し上がり、花を優しいまなざしでご覧になり、
もう一口。
正方形の花瓶はバルセロナ在住の版画家で陶芸家の楠美克枝さんの作品。
彼女の作品はどれも優しい。正方形の角があっても柔らかい。
時間はゆったり流れて、初めてのお客様なのにもう何年も通われている
方のように話が弾む。



2013年4月19日金曜日

「カラクリ」の音

これは、錠前をカバンに取り付ける作業で「カラクリ」と言います。
金属の「展性」という特徴を利用して鋲のカット部を伸ばし広げます。
これでもう錠前は鞄から外れません。
このハンマーを「カラクリ金槌」と言います。とっても小さな金槌です。
そして、この作業は「からくる」と動詞としても使います。
うまくからくれているかどうかは、音ですぐにわかります。
透明感のある澄んだここちよい金属音がします。
手首には力を入れず、小さなハンマーの先で鋭く正確に的を狙うように。
今まさにこの職人さんは「からくっています」。



2013年4月14日日曜日

小さめの口枠ボストンの制作過程

HP の MonthlyWorkshop を更新いたしました。
マンスリーが目標ですが、事実上シーズナルになっておりますが・・・
フルオーダーでお作りした、小さめの口枠ボストンの制作過程です。
きめ細やかな肌質を生かした仕上げが施されたフランスのカーフを使用しました。
「身の回りの小物と本が何冊か入る、カジュアルな服装に合う口枠の鞄」
というご用命でした。

 http://www.fugee.jp/monthly/index.html


2013年4月13日土曜日

U様のファスナーの鞄

この鞄の枠はジュラルミン。
既製のプラスチックの枠もあるようだが四隅のアールは決まったものだろうしサイズも
枠自体の厚みも気になる。
そんな訳で自分で曲げて枠を作っている。
そこそこ図面どうりのアールになる、枠の寸法も違っても1mm 程度。
しかし、見た目は四角いファスナーの鞄。
こういうちょっと間違えると特徴がなくなりそうな鞄こそ、細部まで
神経を使い、強度的にはもちろんだが、美しく美しく、作るようにしなくてはいけない。
これができた時は革の美しさと言う事もあり長い時間眺めていたのを思い出す。

要所を同色でまとめ、少しだけくだけた服装で、粋なU様の姿を入り口の前で失礼して
撮らせて頂いた。




2013年4月9日火曜日

アトリエ拝見

ガラスの器を作るバルセロナの友人のアトリエ兼ショップにお邪魔した。
瞬間との勝負ということもあるだろうが彼の作業は状態を鋭く観察しながら、しかし
流れるように進む。一息ついたところでパートナー(彼女は陶芸家)を通訳にどういう作業なのか教えていただいた。シャンパングラスを作る一行程だそうな。
長い時間ではなかったが緊張感のあるいい作業を見せていただいた。
やっぱり自分を追い込む気持ちが大事なんだろうな、物作りには。なぞと思いながら
ボーと見入ってしまった。
私が気に入っている彼の作品の一つであるこのワイングラスは赤ワインをそそぐとご覧のとうり葡萄のふさが現れる。





2013年4月5日金曜日

息抜き

鞄の話題でなくて恐縮です。
バルセロナから百数十キロ、コスタブラーバにお邪魔しました。
フランス国境まであと十キロ程の町。
その町にある海賊から住民を守る為の中世の要塞。時間とともに変わる景色の美しさに息をのむ。

その晩近くの村にセマナサンタ(復活祭)の長い行列を見に行きました。
深夜1時過ぎ、中世そのままの格好の人々が次々と現れる。
裸足の予言者のような男から始まり十字架を背負ったキリスト、兵士、天使の様な子達、
キリスト像の山車、、行列は延々と続き最後は骸骨が大きな鎌を持って跳ね踊る。
幻想的なお祭りでした。