I pad mini と小物が入るなるべく小さく、柔らかいショルダーバッグというストイックな
ご注文でした。
じつは、シンプルで柔らかい鞄はとても仕立てに悩みます。どこまでそのままのその革の質感にたよることができるのか。同じ厚みの革を使っても、ちょっとした鞄の大きさの違いで質感も耐久性もすごく変わってしまいます。
耐久性と見た目のバランスも小さく柔らかい鞄ほどもしかしたら難しいかもしれません。
男性ものなので、柔らかさのなかにもキリリとしたものが感じられるメリハリの効いた顔になるように意識しました。
大きい鞄も小さい鞄も悩む量はさほどかわらないのかもしれないなとおもう今日この頃です。
金具は鞄の顔を決める大きな要素です。
革の質感、仕立てはもちろんですがそれらとバランスがとれた
金具があっての美しい鞄です。
Fugeeではいつでもステキな金具を探しています。
探しても無い時は自作します。
自作がムリなときは図面を描いて業者にお願いします。
鋳物で作る時もあります。
そして、それらの方法を組み合わせて作ったりもします。
この写真はいろいろな方法を考えながら金具の模索をしているを所です。
でもこのやりかたは結局ボツになりましたが。
この鞄はほんとに出番の多い鞄で、。とU様がお持ち頂いた鞄は
4年ほど前に作らせて頂いたショルダーバッグです。
お気に入りでお使い頂くのは本当に嬉しいかぎりです。
なんでもないようなよくある形の鞄ですが型くずれがしづらく、
中の物が飛び出さないような構造になっています。
起毛していない附属革部分のベルト、リボンの一部の擦れにクリームを、。
もう、すっかりU様の色になった鞄のメンテナンスでした。
私達ができる事は、そしてやりたい事は、革という素材を使って
なんとかその革の意を汲もうとする事だとおもいます。
おおげさかも知れませんがその革の可能性に自分なりの
挑戦をしてみたいと思っています。
うまくいきそうな時とダメな時を繰り返します。
今回作らせて頂いたこの鞄も他の鞄と同じように反省も、いいなあ、
と思うところもたくさんある可愛いカバンです。
この鞄の重量についてのご指摘を受けました。
一言でお答えすると承知して作っております。
私達は微力ですし革も万能ではありません、それを承知したなかでなにができるか
を探ることが楽しい私たちの仕事です。
例えば、このカバンの持ち手はお持ちになった時なるべく違和感の無い、
できれば軽く感じられるものを目指して作っています。