2cm以上の厚物をあらん限りの力で糸を引いて縫ったりもします。
又、小物のすくい縫いなぞは細い糸をそっと引いていってその糸が張った所で
スッと力を抜く、、。それらは一目づつ、前に縫ったステッチと調子を合わせながら
縫い進めて行きます。美しく丹念な革の表情が現れてきます。
しかし、大切なもう一つの事を言いますと。
それは、表現の自由度が無限と言っていい程広いということです。
たとえば立体を作り上げたうえにさらに、ステッチを、他の立体を、複雑にも繊細にも加えることがミシンの比でなく出来るのも手縫いならではです。
私共の鞄の中には最後のまとめを、鞄の中に片手を入れ、外からキリでさしながら
縫ってまとめると言う物が多くあります。
理由は場合によって色々ですが、その手順のほうが美しくできるから、
しっかりとした物が作れるから、自分が意図した表情が出しやすいから、というところでしょうか。
私共のたのしい鞄づくりには本当に欠かせない手段の一つ、表現する為の方法、それが
手縫いなのです。