牛と比べるととても小さい山羊革ですが、個体によってはその小さな革の中にいろんな表情を見せてくれるものがあります。背中心に沿ったゴツゴツとしたなんとも言えないテクスチャーは鞄の顔として一役買ってくれます。革自体の厚みも真ん中と端ではかなりの差があり、扱いも難しいのですが、全体をあえて同じ厚みに統一したりはせずに起伏のある表情が感じられるような出来上がりを目指します。その革を初めて広げた時に感じた作り手のときめきが、鞄が仕上がった時も残っていればいいなと思います。
2024年12月17日火曜日
2024年12月9日月曜日
山羊革の定番FM42型
今回お作りしたご注文の鞄はFugeeの定番FM42型をゴートレザーでというものでした。
いつもこの鞄に使用するブライドルレザーと比べてゴートレザーは革のサイズも小振りです。
その為部品も四分割になっています。
ゴートは美しい革ですが一般的には薄めで小物に使用される事が多い革です。
革の厚みが持つ質感を求められる種類の鞄には難しい場合もあります。
今回使用したゴートは鞄を作る際の腰も厚みも申し分ない革で、
Fugeeでは随分長く使っている素材ですが最初にひと目見た時に虜になり今でも大好きな革です。
上品なシボが特徴の素晴らしい鞄ができました。
2024年11月25日月曜日
FM42の顔
Fugeeではスタンダードモデルの鞄をお好みの色、革でお作りするカスタムオーダーがあります。
ショールームにはご注文なされるお客様のため、定番鞄の見本を常にご用意してご覧いただけるようにしております。(見本の鞄も販売致しております)
その見本の鞄作りは私たちの楽しみの一つでもあります。
作る鞄のイメージを作り、適した革の色を選びイメージに合うステッチで仕上げ、金具も最も合うと思われる好みのものを取り付けます。
現在のFM42型の見本は明るい茶系のブライドルを使用し、白のステッチ、真鍮の小型の丸錠前を取り付けて作制したものです。
スッキリと若々しく上品でバランスの良い鞄となりました。
2024年11月13日水曜日
大好きな棒屋根鞄 5
棒屋根鞄の完成です。
今では当たり前になっているファスナーですがその発明される前はいろいろな金具で
確実な開け閉めをする方法を考えました。
金属の枠に錠前を取り付けた日本では棒屋根と呼ばれるこの鞄もその中のひとつです。
今でも私共のような好き者の心を掴んで離しません。
キチッと仕立てた棒屋根鞄は美しいものです。
2024年10月31日木曜日
大好きな棒屋根鞄 4
試作は当然ですが目的を持って行います。
テストピースから入るとこもああります。
今回は図面から起こした型紙で一次試作を作る所から始まりました。
ダメなところをなるべくたくさん搾り出す為にチェックのポイントをあらかじめ認識して始めるのですがいつもの様に思いもかけないところを見せつけられたりします。
自分達の考えと現実とのズレがずしっときます。
そこが情けないところでもあり面白いところでもあります。
写真は三次試作までの本体と本作の枠です。
2024年10月26日土曜日
大好きな棒屋根鞄 3
金属は基本的には真鍮で、革に包まれる部分例えばフレームなどは鉄でできています。
先ずは全てバラバラにして丁寧に磨きまた組み立てます。
破損した部品、無くなってしまった部品は作り直します。
もちろん新しく設計した鞄に違和感なく馴染み、機能しなくてはいけないので、
金具も取り付ける革も変化させる必要があったりします。
今回の手の先端のリング状の金具は今では見なくなった素朴な愛らしいものです。
小さな部品ですがアンティークの鞄にしばしば見られる胸が躍るつくりです。
2024年10月21日月曜日
大好きな棒屋根鞄続き
今回の鞄の図面です。いつも原寸大で描きます。
他の口枠の鞄にも当てはまる事ですがとても面白いのが鞄を閉じた時と開けた時に革が
大きく動く部分があってそれらの形状、距離感等が鞄の形状を保つ重要なポイントになっている事が多いという事です。
時にはかなり激しい動きになる部分もあるのですがそれに追従してかつ耐久性を保つ
革はやっぱり素晴らしい素材です。特に象革は大好きです。
2024年10月6日日曜日
大好きな棒屋根鞄
大好きな棒屋根鞄の作成です。
今回はお客さまご希望の少々小振りのアンティークの枠を使用した棒屋根です。
上の写真が古い手に入れたままの鞄で、下はフレームや金具等をきれいにしてもう一度
デザイン、設計をやり直して完成した鞄です。
何回かで出来上がりまでの工程をお見せしたいと思います。
2024年9月20日金曜日
夏の終わり
もうすぐ秋分の日だというのに暑い日が続いておりますが、今週末からいよいよぐっと気温も下がるとか 。
Fugeeでも、毎年夏恒例の小物制作期間がなんとか終わります。
徐々にお渡しが終わった物もありますが、ご主人のお出でを待っているものが
束の間展示スペースを占領しております。
楽しかった細かいテクニックを考える時間は終わり次は大胆な考えや捉え方が要求される鞄が待っております。
2024年9月7日土曜日
籠型鞄
定番になりました。
ブライドルレザーで作られたカゴバッグは質感の良さに魅せられたお客様のご注文を
頂くようになりました。女性のお客様で持たれたいとのご要望がありその方用に少しだけサイズを小さくしたものも作るようにしました。
ブライドルの重厚感をそのままで、サイズを小振りにすれば軽量化もねらえるか、、。
少し軽くなりました。それでも世の中のトートバッグと比べたら重いのですが。
2024年8月24日土曜日
この持ち手の場合...
鞄の持ち手にもいろいろありますが、
この持ち手の場合は特に、
中に入っている革の芯にできるだけ近く縫える限界の場所を狙って
パンパンにキツく、、、、糸をしぼる手の痛さを我慢しながらキツくキツく、、、、
そうやって出来上がるこのハンドルは当然ですがカチカチに硬くて真っ直ぐ。
とてもじゃないけど簡単に曲がるようなシロモノではありません。
タンニン鞣の革の特徴を生かし、水で濡らして紐で縛り1日以上寝かして
曲がるクセをつけます。というより水分を飛ばしつつ固める感覚に近いです。
2024年8月10日土曜日
2024年7月31日水曜日
2024年7月20日土曜日
思わずご説明したくなる
ショウルームの現在のKM39の在庫です。
錠前はオリジナルの角錠前の小を使用。
柔らかめのトロッとした質感の革を使って持ち手をつけたカカエ鞄を作りたい。
そんな思いから20数年前に定番になりました。
その時に思ったのは全体の雰囲気から持ち手周りはいわゆるゴツいものにはしない。
それでも少なくとも20年くらいの期間は美しく使用できるものでなくてはならない。
そんなわけで私達が思いつく限りのアイデアを詰めました。
鞄は自分の子供のようなものですからできればそうして欲しくありませんがよっぽど荒い扱いをなさっても持ち手と持ち手周りは壊れません。
その他にもお伝えしたい事がたくさんある鞄です。
もしお立ち寄りいただける機会があるようでしたらぜひ御説明させて頂ければと思います。
(鞄は説明より実物を見て感じて頂く方が良いのはわかっているのですが私達がこだわって時間をかけてやっている事は鞄の表に具体的な形では現れないものが多いので思わずご説明したいと思ったりします。)
2024年7月13日土曜日
つくる者の責任
革にしろ布にしろ木にしろその他の色々な何かを作るための素材にはそれぞれの特質があるのは当然です。それは美しさだったり、しなやかさだったり、強さだったり。
作り手はそれらに魅了され形をつくり上げていきます。
しかしその素材の最も大切な本質として「弱さ」というものもそれらと同列にあります。
素材としての弱さを隠さない、隠せないもの、、私達が使う革はそういう素材です。
何年も使われた鞄に心打たれたり愛おしさを感じたりするのは、よく経年変化という
言葉でその様子をくくりますが、それは革の強さやしなやかさがますます見える部分と日々の引っ張りや繰り返しの曲げにより疲労が見えるものが共にあるという事だと思います。
仕立てをする者はただただ形にするだけなぞという事は決してするべきではありません。
日々使用されている鞄の革のいろいろな意味での美しさを「もし少しでも引き出せる事ができたら、、」という仕立てを工夫しなくてはいけないと考えます。
2024年6月30日日曜日
女性のための小さめのハンドバッグ
女性のための小ぶりなハンドバッグです。枠はオーダーごとに曲げてつくっています。
持ち手部分の金具、錠前は、これまでメンズ鞄に使用している物を削ったり、
その鞄用に一つだけ作ったりしてきたのですが、Fugeeが作るハンドバッグの質感を追ったらこうなりますという金具を作りました。
少し華奢めで上品な雰囲気に仕上がったと思います。
2024年6月22日土曜日
ピッグスキンのテクスチャー2
こちらの鞄に使用している革はピッグスキンの型押しをしたイギリスのブライドルレザーです。馬の鞍用の革なので、通常のブライドルよりもロウが多めで張りがあります。少し重めですが、一枚で仕立てるこちらの鞄にはぴったりです。つるっとした通常のブライドルも好きですが、ちょっとした凹凸のあるテクスチャーがあることにより曲面の表情に変化が生まれて魅力的です。定番になりつつあるこの鞄ですが、少しだけ小さいバージョンを只今製作中です。
2024年6月5日水曜日
ピッグスキンのテクスチャー
魅力的なキリッとした豚は最近なかなか目にしません。
スターリングシルバーと合わせたこのKM39はシュリンクレザーで作るそれとは
全く違う表情を見せてくれました。
うっとりする美しい鞄です。
鞄の質感はある程度は思いを込めて狙うものですがやはり何と言っても
その革の持っている本質的な表情は素晴らしく、
その範囲を超えるなぞということはしないし出来ないし良くはならないものです。
やっている事は恐る恐る革に尋ねるという方が正しいかもしれません。
2024年5月26日日曜日
最近の仕事から
今ではもうほとんど残っていない昔の日本の山羊革、茶利八方で本体を、
金具をスターリングシルバーでダレスバッグを作らせていただきました。
迫力のある表情を持った革ですが仕上がったものは非常に上品な鞄になります。
今の時代の柔らかくて軽く何でも入れられるトートバッグをビジネスに使うというのと
真逆をいく鞄です。
2024年5月13日月曜日
最近の仕事から
定番のFL46、ブライドルレザーの二色使いです。
一つは黒の胴にグリーンの付属部品で金具はスターリングシルバー。
もう一つはネイビーの胴に黒の付属、金具はブラスです。
それぞれ、ご注文頂いたお客様の個性がひかる鞄です。
2024年4月30日火曜日
魅了されます。
鞄を作る時それに合う素敵な金具をつけたいと毎回思います。
既製の金具を思い浮かべて合うものがあればいいのですが
なかなか思ったものがないこともあります。
そんな時は簡単なものなら自作することにします。
ただそれは本当に簡単なものに限られ、錠前のように複雑なものはなかなかできません。
アンティークーの錠前をバラしてみるとファンタジーを現実のものにした先人の知恵とロマンを感じます。魅力的な動きをする部品に毎回驚きの声をあげそうになります。
軽い、何万という繰り返しに誤動作がない、壊れない。
そんなもの、1週間とか1ヶ月間その時だけ急に考えてたどりつけるものではないのです。
2024年4月11日木曜日
4年半ぶりの息抜き半分の旅
3月後半から先週にかけて、4年半ぶりにフランスに行ってきました。以前は毎年恒例のようになっていた仕入れを兼ねた息抜きの旅。コロナや戦争や円安などあり、なんとなく尻込みしていましたが重い腰がやっと上がりました。
いつもはたいていゆっくり滞在することが多いパリですが、あまりのホテル代高騰のため2泊のみにし、以前から行ってみたかったフランス中南部の鞣し屋さんのある田舎町へ電車で向かいました。鞣し屋さんとの約束の日の朝、宿のカーテンを開けるとなんと雪が積もっていました。バスで向かいましたが、何故か途中でUターン(!?)慌てて降りてまだ雪の溶けてない歩道を2キロ以上歩いてやっと到着しました。2枚目の写真は同じ日の午後。春の天気は目まぐるしく、キリッとした気持ちの良い1日でした。
旅のおたのしみであるごはん。地元のお肉屋さん、地元の酒屋でその地方のワインをえらび、スーパーの地元コーナーでチーズや野菜を買って簡単調理で幸せな夕食。 世界はどこでも都会を離れるとみんな驚くほど親切でやさしい。その余裕はゆったりした生活があるからなのだろうか。。。
ハードスケジュールな割には帰国後、時差ボケもほとんど感じず、満たされた気もちで仕事に復帰できました。
やっぱり息抜きは大事!!
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