2025年9月30日火曜日

混沌の中から

混沌の中から生まれる。
そんなことを言うようなかばん屋ではきちっとしたものなんかできないような気がする。
自分でもそう思います。
でもFugeeのものづくりはいつもどんな時も頭の中は「本当に大丈夫?他にもっといい方法あるかも、、」の連続です。
例えば写真の万年筆のケースの図面。直線とか既にある万年筆の詳細寸法は
そのまま紙に写せばいいのですが、全体のバランスを感じてつくるフラップの先端の形状とかそれを差し込む受け部分の位置、形状、厚み。革らしいゆったりした雰囲気が出るフラップの長さはどのくらいか。この万年筆が四角い断面の穴に入って、きつくなく緩くなくもちろんカタカタとはならない心地よい寸法は、、
硬い金属ではなくソフトで流動的な革で作ることを考えると四角は計算どうりのぴったりの寸法でいいのだろうか、、
なんて考え出すと試作をせずにはいられなくなり、でもまあ革が色々な矛盾は吸収してくれるだろうなんて呑気な考えになったり。
やっぱり混沌としています。










2025年9月22日月曜日

楽しみ

万年筆のケースは入れコマで縫うFugeeならではの形のもので、定番品の仲間に入ります。
四角い筒のケースという規定の中で毎回楽しませていただいております。
お客様のご希望にもよりますが最近の制作の傾向は万年筆が四角いケースの中でカタカタ踊らないぴったりの寸法でお作りするというものです。
今回はお客さまがお父様からいただいたというイギリスのものですが、
この万年筆はキャップのトップ部が一番太い部分で傘のようになっています。
それを利用してピタッととまるようにお作りしてみました。












2025年9月10日水曜日

美しいもの

美しいものを作りたい。
つくり手は常にそう思うのかもしれません。
一つの品物それぞれを必ず手塩にかけて作る。
それを何十年も緊張の糸を緩める事なく続けている。
さらに、今の自分の技術や方法に常に疑いを持ち続けている事も大切なこと。
そういう工房は少ないかもしれません。
Fugeeの品物にトッピなところはありません。
普通に当たり前のようにそこにあります。
しかしつくっている自分達がいうのも変ですが美しいです。
私たちは自分達の中の完成度を目指します。
昨日と今日とではやり方も、考え方も変わります。
どうってことのない美しいものをどうぞ見にいらしてください。




2025年8月30日土曜日

8月のおわり

気づけば8月もあと1日を残すばかり。
今年は早めに仕込みをはじめたこともあり、いつもは9月にずれ込むことの多い小物づくりがほぼ完成しほっとしているFugeeです。
でも作業に邁進しすぎたため(?)か、梅の土用干しのタイミングを逃してしまったのが心残り。昨日も今日も暑いので、干してもいいような気がしますが、気持ちはすっかり秋なので梅しごとのテンションではありません。来年干そうと心に誓っているところです。
暑くてもわっさわっさ元気に咲く庭の百日紅
部屋に入れるとあまり綺麗に見えないけれどエネルギーをもらえます。



2025年8月23日土曜日

にび色のダレスバッグ

 単純に「グレー」や「灰色」と言ってしまいたくないような、なんとも言えない色と質感のこの革はボックスカーフで、去年フランスで買いつけてきた中のお気に入りの一枚でした。出会った時から、ああダレスになった姿を見てみたいなと思っていました。

いち動物としての個体と鞣しや染色の塩梅など、いろんな条件が複雑に絡みあうため、革というものは本当に一期一会の素材だと切実に感じます。

ショウルームの新しい展示用としてつくっている途中に、あるお客様に見染められてありがたい事に早々と嫁ぎ先が決まってしまいました。展示用サンプルとしての役目が終わるまでの数年間はFugeeにございますので、興味のある方はどうぞお気軽に見においで下さい。








2025年8月12日火曜日

夏のしごと

チラッと写真を見ると雑然とカットされた革の部品が少し形になりかかったものになっていく様子がお分かりいただけると思います。
8月、9月は小物作りの時期にしております。
これからいよいよ組み立て、ステッチ、仕上げの工程をへて完成に向かうところです。
小物が全て完成した時には全員集合の写真を撮ろうと思います。





 

2025年7月30日水曜日

男性のための小さなアタッシェケース

身の回りの品物を忍ばせて、ちょっとお出かけ。
作らせて頂いたお客様の遊び心を感じます。
作っていて楽しい小ぶりのアタッシェケース。
作りは、凝りに凝った大真面目で美しい普通の作り。
持ち手もストッパーも山羊革の扱い方もFugeeならではの
頭に何かが着きそうな正直直球一直線。
そんな作り方の鞄、僭越ですがほとんど見ません。