ストックしてあった古い棒屋根鞄を解体して金具だけの状態にし、錆をとり、丁寧に
磨きなおしていきます。
まだファスナーがつくられる前の時代の古いヨーロッパの鞄を見ていると、
鞄の口を正確に、簡便に開け閉めでき、かつ鍵がついた口枠鞄のスタイルが多く生み出されていたことが分かります。そのうちのひとつが棒屋根鞄です。
写真下は革を取り除く前のフレーム部分ですが、とても複雑で魅力的な構造で、
金属はどれも厚みがあり質感たっぷりです。
現代のひたすら軽さを追求した鞄と較べると批判する部分は
たくさんあるかも知れません。
しかしこの金具は、朽ち果てていく過程さえ美しいという革の存在を
明確に表現できる部品の一つだと考えます。
私も含めて、この質感と雰囲気にぞっこんの人は多いはずです。