2015年11月23日月曜日

角のない形 (2)

いよいよ本作のステッチです。
ほとんどすべてのステッチは片手を鞄の中に入れたまま縫う事になります。
こんな時、手縫いのすごさを感じます。
可能性のかたまりみたいなものです。
単純に「ミシンでは縫えないところも縫う事が可能」というだけではありません。
この鞄の場合、まるっこい胴体を、縫い返しでなく実現するためには
どういうことができるだろうか、というところから出発し、
丈夫さと美しさを兼ねそろえたまとめ方を探りました。
その革のいいところ、不利なところを受け入れながら、「こういうふうにしたい」と明確な意志をもってかたちづくりに向き合うといろんなことが可能になるのです。
そして、更にすばらしく可能性を秘めた世界が広がっているのが感じられます。
機械を介さずに「手で素材を感じながら縫う」って
そういうことではないかなとおもうのです。