2022年6月17日金曜日

試行錯誤の残骸

 Fugeeの革棚のまわりは、鞄には使えないけれどなにかまだなにか実験に使えそうな革の端っこだったり、試作の鞄や、部分テストしたあとの残骸でいつもごちゃごちゃしています。
そんな場所を掃除していたら、3月に制作していたスウェードの鞄のテストピースのかたまりがボロッと出てきて、そのときの感じがよみがえってきました。
厚みも柔らかさも質感も毎回みごとに違うスウェードを今回はどんなアプローチで仕立てようか。いままで使ったなかでいちばん色の薄いスウェードの革の断ち目をどうやってきれいに磨くことができるのか。つくり慣れた定番の鞄なのですが、コバ磨きの作業がとても難易度の高い事もあり、最後まで緊張が続いたことを思い出します。
手垢をつけずにサラッとキレイに仕上げるために、小さな作業ひとつひとつを急がずに気を配り次に進む、刃物は常に切れるように研いでおく、そんないちばん当たり前なことがやっぱりほんとうに「肝」なのだということを思い知らされるいい仕事でした。