鞄の解体の主な目的は作った職人さんの意図を知ることです。
どこに逃げを作ってどこを締めるか、酷使される鞄の型崩れをどう防ごうとしているか、
中にはその品物に想いとか意地とかを感じる嬉しいものもあります。
ワクワクと緊張の作業で今のFugeeの鞄作りに大きな影響を与えています。
鞄のコレクターはたくさんおいでだと思いますが
私達の場合、見たいのはその品物を通して見える職人さんです。
「職人さんの意図を知る」他にもう一つの目的、品質の良い金属部品を使っている
古いものを再利用するための解体というのもあります。
「必ず解体したものよりクオリティーの高いものを作る」というのが私たちの信条です。作られた職人さんに対する敬意だとおもっています。
フランス人が作ったであろうこの鞄は解体され、金属部分を磨き直して全く新しいものに生まれ変わります。
棚の片づけをしていたら、見覚えがあるけれどなんだったか思い出せない包みを発見。
持ってみると小さいのにすごく重い。
開けると、ああこれだったのか。久しぶりに懐かしい友人に会ったような感覚です。
あれはまだ90年代のこと、フランスの骨董市で買いました。
チェスのことはよくわからないけれど、木や石など、同じ素材同士種類の色の違いで
敵味方の駒の区別を表現してあるものを見ることがあります。
これはその金属バージョンなのでしょう。
鞄屋にとっては身近な素材なこともあって親しみも感じつつ、素朴だけれどモダンな
佇まいに惹かれました。この駒が映える革のボードが組み込まれた箱物の鞄が
つくりたいと高揚した当時のことが昨日のことのように思い出されてきました。
もし当時つくっていたとしたらそれはどんなものだっただろう。
でも、20年以上の時を経て再会したこのチェスの駒に今の我々だったらどんな命を
吹き込むことができるだろうか。ドキドキしてきました。
ぜひ、実現させたいものです。
3月です。
雛人形とブライドルレザーの赤いFM42型。
綺麗です。
ショウルームに鞄が少ないので、すぐに売れてしまわない綺麗で華やかな、、。
と言う事で時々赤い鞄をつくるようにしています。
おかげでメリハリがつき少し華やいだ雰囲気にもなっているんですが。
やっぱりお客様の手に渡って初めて鞄です。
早めにお雛様かたずけようと思っています。
先週に引き続き、こちらも最近納品させていただいたBK41型。
紺色のブライドルレザーに真っ白な麻糸をお選びいただきました。
この鞄ならではの太いステッチがより白を際立たせ、ネイビーの革の色を強調します。
印象があまりシャープになりすぎない様にコバは黒でなくこげ茶色で仕上げました。
白い麻糸は経年変化で時間をかけてベージュ色に落ち着き、繊維が柔らかくほぐれ色も濃くなっていく革に馴染んでいきます。
真っ白の麻糸で縫われていたであろうと思われるアンティークの美しい鞄に出会いドキッとさせられることがあります。この鞄もそうなって欲しいという思いを込めて、白い糸の時の刻みかたを想像しながら仕立てました。
定番のBK41型です。
基本形はイギリスに昔からよくある形で日本の学生鞄や
サザエさんのお父さんが持っている鞄の原型と言える鞄です。
Fugeeでは厚手のブライドルレザーをかなりの迫力で使用しています。
ある時から型紙を少し変える事に気がつき通しまちの作業がだいぶ楽になりました。
それでも4mm厚の革を押さえ込むのは大変で、かなりの緊張感です。
マチの張りこみが終わると毎回ドッと疲れます。
手縫いは本当に素晴らしい方法で、重量感のある鞄のこんな厚さの革でも
コントロールしながらそこそこ繊細にまとめられるのです。
鞄教室でのひとこまです。
長いこと時間をかけてきた口枠の鞄が出来あがり、みんなで並べて品評、検証を
たのしく行いました。
私たちにとっても、生徒さん以上に驚き発見があり勉強になった授業内容でした。
今回の鞄は私たちがつくった見本を元に各自がデザインを起こし、
製作のための原寸図面を描き、試作によって問題点を出し、
作り上げるというFugeeの製作工程を簡略的に実行した鞄作りでした。
こちらからの条件は全員同じ口枠金具を使うこと、
マチの下部を固くすること等、その他持ち手のかたちもテーマの一つでした。
長い工程の間、私たちからのしつこい質問にも耐え自分たちの
オリジナルの鞄を皆さん作り上げました。
ブラボー!
この鞄に使用している革は以前パリでたまたま見つけた革屋さんに飛び込んで
見つけた、ぽってりした厚みのある美しいカーフです。
あまりにも繊細な表情の革なので当初は製品にするのをためらったほどです。
Y 様に5年ほどお使いいただいているこのKM39型。
薄い透明感のあるカーキ色はお手入れさせていただく度に少しづつ濃くなり新しい質感に
変化していきます。
面白い革です。