革の状態で既にずっしりと重い。
毎回作る度に、色々な試みをしてみる。
鞄として現れる表情を変えてみるのもその一つ。
アチラがたてばコチラがたたず、力強く頑固なこの革は一筋縄ではいかない。
でも、なだめなだめて時には力の限り押さえ込んで、この革の新しい表情が
出てきた時はほお擦りしたくなるくらい可愛い。
「おまえは偉い革なんだな」と褒めてあげたくなる。
「出来上がりました、いつでも取りにお出で下さい」と留守電に入れると
明朝、「今から行きます」というお返事をS様から頂いた。
重いこの鞄を仕事の相棒にお選び頂いた事に感謝の気持ちです。
お客様は作り手が見える鞄に想いを持たれ、作り手はお客様を頭に浮かべ
ベストを尽くそうとする。
鞄屋をやっていてよかった。
(下は同時にご注文頂いたluggage tag、フラップを開けると名刺がそのまま
入っています。)