風変わりな形ですが、オーダーでおつくりしたキーケースです。
大きなものから小さいものまで結構な数の鍵を収納しなくてはいけない条件だけをいただき、その他はお任せいただいたので、自由につくらせていただきました。強度を要する紐はアウトドア用の堅牢なものを使用し、ストッパーの役割をする金具は2本分の紐の太さに合うように真鍮線を巻いて自作しました。そして地味ですが、口元の縫いに新しい試みを取り入れました。閑清縫いという江戸末期から明治期の煙草入れに見られた技法です。写真を見るだけでは謎の多い技法でしたが数年前に骨董品をお借りできる機会が何回かあり、どういう構造になっているのか、どんな理由や意図がありそんな技法が生まれたのか少しづつわかってきたところだったので、何かに取り入れたいと密かに思っていました。まだまだ研究の余地しかありませんが、そんなつくりてのワガママを聞いていただけるお客様に感謝しております。