2020年4月25日土曜日

六芒星の口枠鞄(4)

見慣れない形の2つの物体。
実はこれらは、トローリーバッグに鞄を装着するための部品です。
鞄本体が出来上がった状況ではまだ折り返し地点に立ったに過ぎなかったのが
このオーダーでした。
部品点数は最小に、部品自体の重量も軽く、装着もなるべく簡単に、そして鞄本体にはショルダー紐以外のものは何もつけない、これらの条件を満たすものを探りました。
鞄以外のものですし、私どもも全く初めての挑戦でしたので、アイディア出しから何度かの試作を経て最終的な着地点が決まるまではかなりの時間がかかりましたが、シンプルでおもしろいものができました。
興味に溢れた楽しい、そして自由な発想による過程こそがものつくりの本質ではないだろうかと感じております。
2枚目以降の写真は制作過程の紆余曲折です。







2020年4月16日木曜日

六芒星の口枠鞄(3)

鞄を作る時に考えることはたくさんあります。
革、仕立ての方向性、その二つの相性、更に鞄のサイズ等によって
全く異なる鞄になります。
耐久性も担保しながら広い面積で革の美しさを見せるのが鞄と言えます。
その観点から言うと手に持って美しい鞄をつくるとき、
普通は肩掛けの紐はないほうが良いと思います。
今回の鞄はお客様のご希望の肩紐に面白い役目を考えることにしました。
鞄の雰囲気に合わせたシンプルに見える今回の肩紐は手の込んだものです。




2020年4月7日火曜日

Fugee近況

パソコンの不具合が続き、ブログ更新がなかなかできませんでした。
というのもありますが、コロナウイルスの世界感染拡大のことでどうもふわふわと気持ちが落ち着かない日々が続いており、ハッと気がつけば仕事の手がとまっていたりします。
仲間の話を聞くと多かれ少なかれ似たような思いをしているようです。
それでも、海外の友人たちとお互いに心配の連絡を取り合ったり、庭の梅の木が7年ぶりにたくさん実をつけてくれたことに心が踊ったり、ちょっと開き直って読みたかった本を読む時間を取ろうとしたり、スーパームーンを見て喜んだりしながらうまくバランスを取ろうとしています。
4月6日発売の雑誌、メンズプレシャス春号「世界のクラフツマンシップと心優しき名品たち」という特集の中に掲載していただきました。
良い季節なのに家にいなくてはいけない日々が続きそうです。
ご興味のある方はぜひお手にとってみてください。


2020年3月28日土曜日

六芒星の口枠鞄(2)

型紙の検討には随分時間をかけましたが使用する革の表情、質感を見極めながら
いざ制作です。
漉きと裏打ちのテストも時間をかけます。
仕立てとしてはそれ程複雑なものではありませんが出来上がったときの
この革ならではの鞄の表情は未知数なのでテストも必然となります。



2020年3月21日土曜日

六芒星の口枠鞄(1)

「星形の鞄」というお題をいただいた時はちょっと驚きましたが
可能性を探る面白い仕事だと思いました。
口枠を閉じた時に入り込む部分の左右の角を強調させて星形六角形の角になる、
そんなイメージをはっきりお持ちの K様 でした。
プロポーションが一般的な鞄とかなり違うため、当初は胴は分割しないと型紙的に無理がありすぎると考えました。
それでも手曲げでつくる口枠の寸法を探りながらの図面と試作検討で
胴革を前後一枚づつのシンプルなものにまとめることができました。
下の二枚の写真は試作時です。できれば前から見た時に繋ぎ目がない方がより「星」らしさを強調できるはずなのです。





                                         

                                     







2020年3月11日水曜日

Oyazine

「親爺がつくる親爺のためのいい加減な雑誌」という副題がついた「Oyazine」。
デザイナーでありフォトグラファーでもある島さんがつくっています。
不定期に発行されるこの雑誌は、島さんと40歳以上の親爺執筆者( Oyazineスピリッツがあれば性別、プロ、アマを問わないらしい)による投稿で構成されています。
世間からはみ出しているように見えるかもしれないけれど、自分に対してはとことん正直者を貫くOYAzineたちのディープな世界が展開され、どの号も引き込まれます。
ひょんなご縁で親爺フジイが取材をいただき、最新号の記事になりました。写真(なんと表紙も!)と文章は島さんによるものです。Oyazineフィルターを通して語られるフジイ像がいい味わいです。

読んでみたい方は是非Fugeeまで足をお運びください。差し上げます。
また、Oyazineは置いてくれる店を募集しているということなので、
ご興味のある方、心当たりのある方は下記までお問い合わせください。

https://www.facebook.com/oyazine/




2020年3月3日火曜日

8年目の顔

思えばこの鞄をつくるために革を広げている写真がこのブログの1回目でした。
あれから丸8年。あの時はまだ渋谷の小さな店で仕事をしていました。
この鞄がN様のもとで刻んだ時間を思うとともに、Fugeeのこの8年間をあれやこれやと思い出しながらメンテナンスをさせていただきました。
ご愛用いただき使用頻度もかなり多かったとのことで、擦れ傷の多かったパッチやパイピングの部分などに補色をしつつ全体に丁寧に油分を補いました。
ダークグリーンの山羊革の色が濃くなり艶感も増し、タンニン鞣しの革らしい経年変化がいちだんと深い味わいを見せてくれています。
鞄ともども、これからも長いお付き合いをよろしくお願いいたします。